
お前は本当に星が好きだな

うん、好き。星を見ていると
嫌な事とか辛い事とか、
一時的に忘れさせてくれる

東京に居た頃からも
ずっとそうしていたのか?

そうだね。東京にだって、
星が見えやすいスポットも
あったんだよ? まあ、灯りが
多くて前住んでたとこからは
見えにくかったけどね?

その時はアズサも一緒だったか?

いや、いつも私だけ。
…今思えば、アズサにも
一緒に来てもらえば良かった。
アズサは私と違って眠りが
深い方だったから、夜中に
目を覚ましたりとかは
殆どなかったからね

そうか
それからも星を見ながらオロチと
他愛のない会話を続けるアリサ。

あ、そうだオロチ

何だ?

今日は渡したい物があるの。
最強妖怪を目指して、日々
修行しているオロチにね?

渡したい物…?

これ
そう言ってアリサは小さなトートバックを
オロチに渡した。

これは…?
中を開けると、お弁当箱が入っていた。

保冷剤も入れてるから
大丈夫だとは思うけど…

…空の弁当箱…?

空っぽなわけないでしょ!
ちゃんと中身も入ってます!
何でそんな陰湿な嫌がらせ
しなきゃいけないの?

す、すまん。そうだな。
お前がそんな嫌がらせを
するはずがない

オロチ、前に言ってたでしょ?
私の作ったサバの味噌煮を
食べてみたいって…

あぁ、言ったな

オロチとは一緒にご飯を
食べる機会がないから…。
これでも頑張った方なんだよ?

…! アリサ…
オロチは蓋を開け、アリサの作った
サバの味噌煮入りのお弁当を見つめている。

い、要らないんだったら
捨てるなり他の妖怪に
あげるなり好きにして

そんな事するわけがない。
これはアリサが俺の為に
作ってくれたのだろう?

う、うん…

ならば有り難く頂く。
誰にも渡したりしない

そっか、良かった…

とても美味そうだ。
おかげで修行もいつも以上に
頑張れる気がする。
ありがとうアリサ

…オロチ…///
蓋を閉め、再びトートバッグに戻すオロチ。

…アリサ

…? どうしたの…?
オロチはアリサの目を真っ直ぐと見つめ…。
_____________________

初デートは映画館がいいと
確かに言った。だが、いざ
デートに誘いたい相手が
現れると不思議と戸惑うな。
そもそも私はアリサの事を
よくわかっていない。
当然、好きなジャンルもな

確かにそうニャンね?

俺がオロチの立場なら迷わずに
スペースウォーズを選ぶよ!

いやいや! そこはやっぱり
セラピアーズでしょう!

それはテメーらの好みダニ!

さっきのイナホの話だと、
間違ってもホラー映画とか
内容が複雑そうなやつとかは
選んじゃダメみたいニャンね?

誰かが死んでしまうやつも
ただでさえ自殺願望のある
アリサちゃんにはやはり
見せない方がいいでうぃす

そうだね。アリサさん、
少しずつだけど生きる事に
前向きになりつつあるし、
もしまた死にたいなんて
言い出したら…

…それだけは阻止せねば

この際、直接聞いてみては?
アリサさんに!

単刀直入過ぎないダニ?

…
_____________________

…? オロチ…?

…!

大丈夫? ボーッとするなんて
オロチらしくないね?
何かあったの…?

すまん、少し考え事をしていた

そっか。私が昔聞いた事がある
有名な妖怪のアニメでは、
【病気にならない】だとか
【死なない】とか歌詞に
出てきた事あるんだけど、
実際はどうなの?

妖怪だって病気になるぞ。
確かに寿命は人間よりも
ずっと長いが、それでも
いつかは終わりが来る

そうだったの…。
《そっか。あの絵本に出てきた
閻魔大王は…》

あぁ

《じゃあ、私よりも確実に
長く生きられるにしても、
オロチ達もいつかは…》

大丈夫かアリサ?

私は大丈夫。ってか、私は
オロチの心配してるんだけど?
もしかして、体調悪いのかなって

大丈夫だ

ならいいけど…

…

それで? 私に何か
言いたい事あったんだよね?

…いや、大した事ではないから
今はいい

そっか…
オロチが言いたかった事が気になりつつも、
アリサはそれ以上追求しなかった。

…コマさん達がいつ
起きるかわかんないから
そろそろ帰ろうかな

ならばまた送っていこう

毎回送ってくれるけど、
別に無理しなくても
いいんだよ?

無理等していない。
俺がそうしたくて
やっているだけだ

そ、そう…? じゃあ、
ありがとう…で、いいのかな?

あぁ
オロチはいつものように、コマ兄弟と
同居している家までアリサを送るのだった。

《女子を映画デートに
誘うのがこんなにも
難しい事だとは思わなかった。
…アリサと出会うまでは。
そもそもアリサは俺と
一緒に行きたいのだろうか?》
そんな中、オロチはアリサを映画デートに
誘う勇気がなかなか出せずにいた。
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