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第3話

第1話
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2021/09/04 15:19
あなた

お兄ちゃんおはよ。

智久
おはようあなた。
朝ごはん出来てるからね。
あなた

うん。わかった。

智久
後、亮の事起こしてきてくれる?
あなた

まだあいつ寝てんの。
休みだからって寝すぎでしょ。

智久
昨日遅くに帰ってきたみたい。
あなた

ふーん。


世話焼きな智兄、
もう25の癖に全くしっかりしてない亮兄、
数学オタクの大志。
この3人と一緒に暮らしてる。
あなた

あ、そーいやお兄ちゃん今日仕事だよね?

智久
うん。9時から。
あなた

もうすぐ8時半だよ。早く行きな。
私やっといてあげるからさ。

智久
ごめんな。じゃあ行ってくる!
あなた

うん、いってら。

お兄ちゃんは仕事がハードな上に、私達の世話もあるから、凄く大変。


父は旅人で、年中どっかに行ってるし、
母は幼い頃亡くなったから、
もう10年くらい前からずっと、お兄ちゃんが家事をやってくれている。
亮兄ちゃんは危なっかしいから家事なんて任せられないし、
かといって大志は数学しか出来ないから料理なんて以ての外。出来るわけがない。
お姉ちゃんはたまにしか帰ってこないから、
ずっとお兄ちゃんに任せっきりだった。

でも私ももう高校2年生だし、
料理も洗濯も掃除も好き。
だから最近は、お兄ちゃんを手伝ったりしてる。
大志
…おは、よ
あなた

おはよう大志。遅いよ!

大志
だって…特殊な数列を解いてて…
あなた

そんなだから彼女できないのよ〜

大志
僕の彼女は数学だよ?
あなた

………はぁ。

ピンポーン
大志
誰だろう?
あなた

知らない。大志の客じゃないの?

大志
僕にお客さんなんていないよ……
あなた

な、なんかごめん。

ピンポーン
あなた

わっ。

インターホンを見てみると…
新木優子
おはようございます〜!
あなた

ゆ、優子さん!?

大志
え、誰?
あなた

亮兄ちゃんの彼女!

大志
亮って、彼女いたんだ…
あなた

もう結構経つけど。知らなかった?

大志
うん。
玄関のドアを開ける。
すると、ぱぁっという光とともに優子さんが入ってくる。
新木優子
お邪魔しま〜す!
あなた

亮兄ちゃんは今日いませんよ。

新木優子
知ってる知ってる。
新木優子
実はね〜、明日から急遽海外に行かなくちゃ行けなくってね。
新木優子
亮くん、仕事忙しそうで最近帰ってないみたいだから、変わりに二人に言っておこうと思って!
大志
メールは?
新木優子
それが…既読がつかなかったから。
大志
え?
新木優子
1週間前に、家帰ってないって連絡がきてから、既読…つかないの。
あなた

亮兄ちゃんなら、1週間前から出張に行ってますけど…

新木優子
でもね!今までの出張は、こんなことなくて…
あなた

携帯壊れてる、とか?

新木優子
それならいいんだけどなあ…
あなた

明日帰ってくると思うので、聞いてみます。

新木優子
あぁ、ありがとね!
新木優子
じゃあ私お仕事だから、これで失礼するね…
大志
結構ショック受けてたね…
大志
って、え、どこ行くの!?
あなた

私、バイトなんだけど?

大志
そうなんだ…
あなた

じゃあ行ってくるから。

大志
バイトにしては、化粧濃いんだね。
あなた

その発言失礼だよ。

あなた

だから彼女できないのよ。

大志
えっあっごめんね、
不機嫌になったふりをして、扉を勢いよく閉めた。
化粧が濃い理由なんて、1つしかない。
あなた

(大志でもわかるくらい、濃かった…?)

細かいことでも気になって、
さっきまで軽かった足取りが、突然重くなる。
そんな時。
横浜流星
あれ、あなたちゃん!
横浜流星
おはよ!
あなた

え、あああ流星さん!!

あなた

おはようございます!

横浜流星さん。
21歳で、T大の法学部に通ってるバイトの先輩。
勉強もできて、顔もかっこよくて、テニスが上手。去年のインカレでは準優勝!(ってバイトの別の先輩が言ってた)
とにかく凄い人。
横浜流星
あなたちゃん家って、こっち方面なんだね〜
あなた

あ、はい!流星さんもなんですね!

あなた

(やばい、会話続かない…)

私がこんなに焦る理由。それは…
























流星さんのことが、好きだから。

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