侑 side
次の日、いつものようにサムに起こされて、体を起こすとなんかダルかった。
頭もぼーっとするし、起き上がっとるのが辛い。
けど、ただの疲れやろ、と自分の中で割り切って朝練に間に合うように家を出た。
フラフラする体を奮い立たせ、コートに入る。
試合も近いんやし、ちょっとやそっとの風邪で休んでられん。
サーブトスを上げて、ボールをしっかり捉える。
上手くいく、そう思ったのに俺は見事に空振りしてしまった。
俺が大好きな声で何か言われとるみたいやけど、熱のせいか何も入ってこない。
風邪引くようなことしとらんのに風邪引くとか、ほんまに俺ダサすぎやろ。
北さんに抱えられながら保健室に向かう途中、あちこちから声がかかる。
ほんまにうっさいわ、喧し豚が。
こっちは体調悪いねんから、黙っといてほしいわ。
北さんに抱えられとる時点で、具合悪いんやなって分かるやろが。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。