午後。
教室に入ると、ころちゃんが机に座って鉛筆を握っていた。
しゆちゃが隣でそっと見守っている。
しゆちゃの声に、莉犬は少し肩を落としながらも返事をする。
視線を床に落とすと、るぅとくんが顔を上げてちらっとこちらを見る。
その呼び方に、心がすこしだけあたたかくなる。
教室の窓から光が差し込む。
外では、あっきいが大きな声で笑いながらまひちゃんに話しかけている。
その声が、莉犬の耳に届く。
小さな声でつぶやくと、ころちゃんがくすっと笑った。
言葉にならない安心感。
怒鳴られない、
叩かれない、
奪われない。
そんな場所。
莉犬はゆっくり机に向かう。
鉛筆を握る手は、まだ少し震えているけど。
それでも、昨日よりは少し強く握れる。
しゆちゃは横で静かに言った。
ころちゃんが小さくうなずく
その言葉に、胸の奥でぽっと光が灯る。
誰かが、自分のことを見てくれている。
小さく笑う莉犬。
今日も、少しだけ勇気を出せた。
午後の教室に、静かだけど確かな温度が流れる。
ここでなら。
泣いても、怖くても、
"じぶん"でいられる。
莉犬はそっと目を閉じて、深呼吸した。
声にならない声を心の中でつぶやく。
そして、少しずつ、
自分の居場所を認めていくのだった。












編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!