真っ赤な彼岸花が咲き乱れている
その中に、私とそっくりな顔立ちの女性がいる
そう、前に夢に出てきたあの人
会話が意味を生していない気がする
長い髪が靡き、赤い瞳でこちらを見据えている
シャラン────
鈴を転がしたような、そんな軽やかな音
それを皮切りに、頭の中の重たい霧が取り払われた気がした
断片的ではなく、全て思い出せる
私の記憶は、神楽が隠していたのだろう
何度生まれ変わっても、神楽はずっと護ってくれている
目が覚めてすぐ、殺風景で白い空間が現れた
どうやら病院らしく、私はあの火事の中助かったらしい
そもそも、私はどうやってあの中で生き延びたのだろうか
危うく雫砺さんと呼ぶところだった
その目には喜びと涙が滲んでいた
私が寝ている間に、全国高等学校剣道大会は2日目を迎えていた
さいっ………………あく!!
これを勝ち抜けば、赫咲と試合できる
ぁぁぁ……今すぐ行きたい…参加したい
でも今年は生憎東京が会場
無理だ………画面越しで観戦とか……
試合のトーナメント表に、"不死川実弥"の文字が無い
代わりに"竈門炭治郎"の文字
どうして?
…………実弥も火事に巻き込まれて…大怪我をしたとか…?
心臓が、嫌な鼓動を打ち鳴らした