第2話

プロローグ
3,478
2021/02/04 09:30
真っ暗な空間────




その中に、青くぼんやりと輝く彼岸花




それに手を伸ばすと、いつも目が覚める




紅い彼岸花は沢山ある




その中にひとつだけ、青色が混ざっているのだ




この夢を見るのは、もう3回目ほどだろうか




全く同じ夢を見るのは────
























ピピピピ…ピピピピ…




あなた

んぅ…………

朝、いつもの部屋だ




二度寝をしないうちに、布団を自分で剥ぎ取る
あなた

ふあ…………

錆兎
錆兎
起きたかあなた?
あなた

起きたけど……………お兄ちゃんさ

あなた

女子高校生の部屋に何平気で入ってきてるの

錆兎
錆兎
妹だろ
あなた

妹だったらいいわけ?

錆兎
錆兎
はいはい、今度から気をつけますよ
あなた

…………………

錆兎
錆兎
それより、さっさと着替えて敷地内の掃除するぞ
あなた

今日始業式なのに………

現在午前6時…
錆兎
錆兎
30分で終わらせればいい
あなた

………だね

錆兎
錆兎
先に行ってるぞ
あなた

はーい…

パタン…




襖が閉まる




と同時に、布団を畳む




少しはだけた浴衣型の寝巻きの腰紐を解く




巫女服に着替え、髪をとかして横に結ぶ




最後にこの後着る制服を確認して、外に出る




錆兎
錆兎
遅いぞ
あなた

仕方ないでしょ

神社の敷地内には、まだ咲かない彼岸花がある




チラチラと降ってくる桜の花弁と少しの枯葉




鳥居の真ん中にあるものを掃く




ふと視線をあげると、看板が目に入る




『神楽神社由来』と書かれている




その昔、この神社に強く関わった強い二人の剣士がいたらしい




ひとりは戦国時代、もうひとりは大正時代
あなた

(毎回思うけど………
大正時代って意外と最近だよね……)

錆兎
錆兎
何見てるんだ?
あなた

ああ、これ

錆兎
錆兎
………鬼狩りの剣士の話か?
あなた

そう……いきなりファンタジー過ぎじゃない?

錆兎
錆兎
そうとも限らないぞ
あなた

何が

錆兎
錆兎
奉納されてる、2本の刀あるだろ?
あなた

あの珍しい色付きの?
あれ片方折れてるし……錆びてるし…

錆兎
錆兎
その折れてる方の刀、大正時代の剣士の物らしいぞ
あなた

へぇ……

あなた

もうひとつは?
なんか緑色っぽい

錆兎
錆兎
あれは、その刀を奉納した人の物らしいな
錆兎
錆兎
あの2本、同じ飾りが着いてるから、もしかしたら恋仲だったのかもな
あなた

ふーん………

錆兎
錆兎
おい、もっと興味示せよ…
あなた

いや……興味持ったから聞いたんだけど…

錆兎
錆兎
おっと………そろそろいい時間だな
錆兎
錆兎
朝飯作るから、部屋戻るか
あなた

はいはーい

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