襖が閉まり、足音が遠ざかっていく
何も音がしなくて、返って違和感…
はぁ…とため息を着く
寝てるはずなのに、床が回転してるみたいに感じる
布団が暑いけど、取ったら取ったで寒い
寝返りを打ち、スマホをつける
……よく考えたらやることない
特にゲームも入れてないし
音楽も今はそんな気分じゃない
スマホを裏返して、畳に置いた
最終的に、寝ることにした
目を閉じると、割とすんなり眠りに落ちた
ワー!!ガキン!!キン!ズシャッ!
嫌な音がする
真ん中で、気持ち悪い化け物が暴れてる
口が何個もついてて、挙句の果てに触手みたいなの振り回してる
つり上がった赤い瞳も怖い
次々と、黒い服の人達が殺られていく
その化け物と、パチッと目が合って…
触手みたいなのがこちらに向けられた
起きた瞬間、布団の感触に安堵した
というか………何あの化け物は
…………まあ、熱出てる時は変な夢見るって聞くし
時間は………午後1時半
お腹は空かないけど、食べないと
ゼリーの蓋を開けて、ちゅーっと吸う
小さい頃から好んで食べていたぶどう味のゼリー
心做しか懐かしい
──────
〜♬.*゚
実弥《今日休んでるってマジか?》
『うん、マジ』あなた
実弥《大丈夫か?》
『だいじょばないから休んでる』あなた
実弥《そうか。ちゃんと寝てろよ?》
『はいはい』あなた
──────
また、同じ夢を見て、同じところで目が覚める
それを何回か繰り返した
……寝るのが、怖くなった
それで結局、眠れなかった
静かすぎるのが怖くなって、咄嗟にスマホを手に取る
通話ボタンを押し、耳に当てる
『なに不死川、彼女いたのか!?』
『嘘言うなって!どんな子!?』
『ヘイ不死川彼女!聞こえる?』
『えっ、マジ!?
あのくそ真面目不死川が授業中に通話する女子で彼女じゃない!?』
それから約1時間、実弥と愉快な仲間たち(?)と通話した
悪い夢を見ずに済みそうだ
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!