「卒業生代表、朝比奈真緒さん」
「はい!」
体育館中に響き渡る私の声。
今日は高校の卒業式。
私は今までたくさんのことを勉強してきた。
私は、全校生徒の前に立ち代表として話す。
「この高校生活ではたくさんのことを勉強したり学ぶことが出来ました。
部活の大切さ。
仲間の信頼。
他にもたくさん学ぶことが出来ました。
そして、また。
3年生になり、受験という季節が来た時にはまたか…など。
この3年間ではわくわくやドキドキたくさんの感情が出ました。
大学生になっても、今までの事を忘れずに頑張っていきたいです。」
とても、短く簡単な文章だった。
でも、竜一には響いたかな…?
「卒業生退場」
緩やかな音楽が流れる中、3年生たちが退場していく。
泣いている子などが多く、私も泣いた。
無事、卒業式が終わり私は友達とお話をしていつものメンバーで私の教室に集まることにした。
(今度こそ、決着をつけるんだ。)
最初に来たのは、江藤先輩だった。
「朝比奈。」
「…先輩」
「あれ、良かったよ。」
「ありがとうございます…」
江藤先輩と話したのはそれだけだった。
それから、みんなが集まり私は話をした。
「今日は疲れたね」
「…うん、これが最後だと思えないや…」
と杏美。
「早いですね…」
と中島君。
「うぅ~、先輩が卒業なんて」
と小夜ちゃん。
「卒業おめでとう」
と杏美に言う巧さん。
「良かったな~」
と竜一。
この中に犯人はいる。
昨日、やっと分かったんだ。
だから、私はそれをちゃんと伝える。
「あのね…みんなに言いたいことがあるの」
「「「ん?」」」
みんなが一斉に私のところを向き、私はそれを確認して言った。
「私、犯人が分かったの。」
「「え!?」」
「…この中にいるし、理由だってしっかりある。」
「真緒、お前、分かったのか?」
「竜一…うん。ちゃんと、説明するよ。
まず…」
「最終話 この事件の犯人」へ続く。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!