「ちょ、ほんとに私も行くの?」
「うん!お願い!」
今日は巧さんが退院する日。
杏美は、巧さんに誘われデートする事になったみたい。
そして、ふたりじゃ恥ずかしいと私と江藤先輩を連れて四人で行くんだって。
「あ、杏美ちゃん」
「巧さん、か、体は大丈夫ですか!」
「うん。もう、完治したよ。」
「そうですか~!安心しました。」
ふたりはふたりの世界に入った。
(も~、やっぱり私いらないじゃない~)
と、ニヤニヤしていると江藤先輩が
「俺ら、いらないんじゃないかな」
と口々にしていた。
「ほんとですよ、ふたりとももう、じゅーぶん!カップルに見えます!」
「ほんとだよ。まあ、バカップルともいうな。あいつ、ずっと、「杏美ちゃんと久しぶりのデートー!」とか言ってはしゃいでたし。」
「た、巧さんが!?なんか、以外ですね…」
「だろ?笑キャラ変したな。」
「ふふ、ほんと」
私たちはあのふたりの後ろに並んで色々話していた。
「これ、おいひー!」
杏美が大口を開けてハンバーガーを食べていた。
(もうちょっと、女の子らしさを…)
と、ちょっぴりガッカリしていると杏美の隣にいた巧さんが杏美のハンバーガーを頬張っている姿に微笑んでいた。
(わ、なんかお似合いだな~。)
そういえば、私竜一といつものカフェとかしか行ってなかったな。
こんな、デパートとか遠出は今までなかった。
(…。)
「朝比奈?大丈夫か?」
私の隣でポテトを食べている先輩が聞いてきた。
「先輩、いいえ。なんでも。それにしても、このアップルパイ美味しいですね~」
私はアップルパイとハンバーガーという斬新なセットにしてみたけど…思った以上に美味しい!
(来てよかったよ…)
そして、時間はあっという間。
もう、夕方になっていた。
「そろそろ帰らなきゃまずいね」
と携帯を見ながら杏美がいう。
「今日は、おばさん家に行くから早く帰らなきゃいけない…」
杏美が方を落として言った。
「じゃあ、送るよ。
圭は、朝比奈さん送って帰るでしょ?」
「え?あ、ああ。同じ地区だし。」
「そうか~、じゃ、巧さんに送ってもらお~」
「うん、じゃ行こうか」
ふたりは仲良く駅に行った。
「俺達も行く?」
「え?あ、はい!」
そして、夜。
「疲れた~」
私はベッドにダイブした。
(でも…楽しかった)
- 卒業まで残り2日 -
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!