それから何時間か経ち、江藤先輩は落ち着いた。
「落ち着きましたか?」
「ああ、ごめんな。急に」
「いいえ…」
こんなメール…。
一体誰が。
「先輩…聞いてもいいですか?」
私は遠慮がちに聞いてみた。
「うん、いいよ」
先輩はうつむきながらも言ってくれた。
「先輩と竜一が恨まれる理由って何か、あるんですか?」
「…理由、か。」
「…先輩?」
もしかして、ほんとに…
ほんとに、恨まれる理由なんてあるの?
先輩が口を開こうとした時私は怖くなり、ギュッと目をつぶった。
そしたら、先輩の携帯電話が鳴った。
「…巧だ」
先輩は微かに言った。
「え?友達?」
「ああ。ちょっとまってて。」
先輩は急いで外に出て電話をしていた。
そして、急いでこちらに戻ってきて私に言った。
「巧が事故に遭ったみたいなんだ。
俺、病院に行ってくる。」
と急いで駆け出していった。
「…巧さんが事故?」
私はハッとした。
(杏美はこの事知ってるの…?)
私は急いで杏美に連絡してみた。
そして、杏美は私の電話にすぐ出た。
「杏美!巧さんが…!」
言いかけた時。
「はぁはぁ…知ってる…!いま、病院に向かってる!」
「杏美!知ってたんだ!」
「うん!だから、また連絡する!」
「わかった。あ、江藤先輩もそっちに行ったから。」
「江藤圭も?…分かった!」
「大丈夫かな…」
それから、何時間か経った。
杏美から連絡があり、巧さんは頭を強く打ったらしく今は眠っているらしい。
命に別状なし。
- 卒業まで残り7日 -
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。