「先輩、ごめんなさい」
部活帰り、中島君が突然私に誤ってきた。
「な、中島君?」
「俺、この中に犯人がいるって聞いて焦ってみんなのこと無視して…本当にごめんなさい」
中島君は深く頭を下げた。
「そ、そんな…。いいよ、それに理由聞けて安心した。なんで避けられてんだろうって思ってたから。」
「はい…。」
中島君はバチが悪そうにしている。
(そうだ、中島君にも話し聞いとこう。)
「どうせだし、一緒に帰る?」
「は、はい!」
中島君とは、少し部活でのことを話、私はさりげなくあのことを話した。
「そういえばさ、犯人…。卒業式までに見つけられるかな…」
「犯人?あ、はい。卒業まで残り少ないですよね。ほんと、時間ってあっという間です。」
「うん…。竜一と江藤先輩が恨まれる理由が全然わかんないの…。だから、ほとんど手がかりなしなのよね。」
「そうなんですか。あ、そういえば手紙はどうしたんですか?」
「あ、手紙…。無くなっちゃって…」
「え!大丈夫なんですか?それって南雲先輩が書いたものではないんですよね?それってきっと、犯人の手がかりになると思ったんですけど…」
「うん、そうなの。でも、カバンに入ってたのにいつの間にか無くなっちゃって…」
「そうですか、手紙も犯人も絶対に見つけましょうね。」
「うん、ありがとう」
「それでは、俺はここで。」
「うん、バイバイ」
中島君、心配してくれてたんだな。
ちょっと、嬉しいや。
そして私はまた手がかりを見つけた。
そして後は、手紙の居場所。
それはきっと、私達の近くにある。
- 卒業まで残り3日 -
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!