「はぁ~…」
今日も部活疲れたな…
やっぱり南雲先輩はすごいや。
朝比奈先輩が好きになるはずだよな…
そう。
俺、中島直人は部活のマネージャーの朝比奈真緒先輩が好きなんだ。
中学の入学式の日。
「剣道部って確かあったよな…どこだろ」
突然、竹刀の音がして俺は、すぐさま聞こえる方へ飛び出した。
その武道室を覗くと何やら練習試合をしていた。
「南雲ー!」
「江藤先輩ー!」
と、二人の名前が呼ばれていた。
そして、
「竜一~頑張って!
…ん?」
マネージャーらしき人が俺に気づいて駆け寄ってきた。
「どうしたの?あ、1年か!もしかして剣道に興味ある!?」
その人は微笑みながら俺に優しく言ってくれた。
「は、はい…」
ほとんど声が出ずそのまま逃げてしまった。
そして、同じクラスの伊野小夜が俺に、
「あ、あの!せ、先輩から聞いたんですけど剣道部に入りませんか?先輩方が待ってますよ!」
「…え?」
「あ、えっと…私、剣道部のマネージャーすることになったんです。それで、真緒先輩が…」
「真緒?」
「はい!朝比奈真緒先輩です。
あれ?部活の時に話したって聞いてたんだけど…」
「ああ…俺だ。」
そうか。朝比奈真緒ってこの前の人か。
「にゅ、入部希望です。」
俺は、この放課後武道室に行き朝比奈先輩にそう伝えた。
「はい!是非!
てゆうかごめんね~急に小夜ちゃんに任せちゃって~。私、名前も名乗らず中島君に話しかけてから」
あははと先輩は笑っていた。
そして、最初は1年は剣道部の先輩の試合を見学することから始まった。
そして、俺は見てしまったんだ。
「竜一!はい、タオル。お疲れ様」
「ん?ああ、ありがとう真緒。」
その二人は親密そうに話していた。
その二人を目にして分かった。
(あの二人は付き合ってるんだ…)
伊野に聞くと、結構前から付き合っていたらしい。しかも、朝比奈先輩からの告白から二人の恋仲関係が始まっていた…
それを知った俺は、初めて恋を知って…そして失恋した。
でも、俺は南雲先輩を恨めなかった。
南雲先輩は本当にかっこいいから。
剣道だってだんとつで上手い。
背丈だって…スタイルも抜群で、人気もある。
そんな先輩に勝てる気はしない。
だから、俺は誓ったんだ。
朝比奈先輩を笑顔にする。
最初のころのあの笑顔に。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。