第6話

初恋 番外編 Feat. 杏美
238
2018/03/05 11:27
「ふぁぁ~…」
朝の電車。

とっても眠くなるんだよな~

ガタンガタン揺れる電車は朝だとまるで赤ちゃんが揺りかごに乗ってる感じ。

私を襲う眠気…

「じゅるるッ。」
(や、やばい…ヨダレ垂らしてた~!)

「ぶはっ!」

「んへ?」

私の目の前の椅子に座っている男子がこちらを見て笑っていた。

「あ…ご、ごめ ww 面白くてつい」

「お、面白い?私なんかしました?」

「ヨダレ」

とその人は自分のほっぺをツンツンして言った。

「え!」

ゴシゴシ

(うひゃ~!ヨダレほっぺにまでついてる~!)

「朝は、眠いよね~」

とはなしてくれた。

「は、はい!もう、朝練眠くてしょうがなくて~」

と、私は頭をかきながら言った。

「朝練か。君って何部なの?」

「陸上部です!短距離してます!」

「へ~陸上か。懐かしいね。」

「陸上部なんですか?」

私が聞くとガクッとしたようにその人は言った。

「お、俺一応大学生…」

「え!?ほ、ホントですか!ご、ごめんなさい!」

「いいよ~。俺、背がちいせんだよな~コンプレックス的な?」

ど、どうしよ~
でも、そんなの気にしなくても…

「確かにコンプレックスは自由ですけど背なんて関係ないと思いますよ?だって、いつか伸びますし!」

「あははっ君ってポジティブだなあ~」

「それが取り柄ですからね~友達の真緒なんて可愛くってモテてて、彼氏もいるんですよ?私と真逆なんです…」

私がうつむきながら言った。

「そうかな?君も充分素敵だよ?」

「…へ?」

くすくす

「顔真っ赤」

カァァァ

(そ、そんなこと言われたことないんだもん…嬉しいな…)

「あ、俺ここだわ!じゃあな!話せて楽しかったよ!」

「あ、はい!私も、楽しかった…」

「へへ、それはそれは!じゃーなー」

彼はニカッと白い歯を見せて笑った。

(……ッ。)

「ふぅ~」

…また、会えるかな?
男子でもあんな人いるんだな。




今言えば、これが初恋だったかも。

でも、それからは彼とは会えなかった…。

プリ小説オーディオドラマ