第14話

大気君 。 2
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2018/03/12 12:31
「大気君、どうしたの?」

私が聞くと、

「…あ、ううんなんでもない…。」

「聞いちゃダメだったかな…?」

そしたら、大気君は。

「ううん、ちゃんと答えるよ。」

「じゃあ…さっきの質問に答えて。」

私は少しキツメに言った。

大気君は少し黙り込んで、口が開いた。

「…兄さんは俺の憧れだった。
俺よりなんでも出来て…」

「南雲の事大好きなんだな~」

杏美が言った。

(まあ確かに。お兄ちゃん想いなんだな~)

「まあ…俺とは違いますから…」

そう言ってうつむいた。

そうだ。
大気君が引きこもってる理由はたったひとつ。

兄の竜一と比べられてよくいじめられていたから。
高校に入学して以来、1ヶ月ほどしか学校には来ていなかった。

だから皆が知らないのも無理はないわ。


「でも、それの何が関係するですか?」

大気君が聞いた。

「あ、えっと」

言っていいのだろうか。

もし、

「竜一を高校の屋上から落とした?」

なんて聞いたらなんて思うか。
もし、違ったら他でもない。

部屋の窓から少し寒気のする風が吹いてきた。

そして、

「兄さんは殺されたんですね?」

突然の言葉に杏美と私は唖然とした。

「え、なななんで!」

動揺しながら杏美が聞いた。

「なんか、二人ともそんな感じがした。
というかまず、兄さんが自殺するはずがないだろ?
大学受験だって受けて心待ちにしていた夢に近
づいてきているのに…。」

(…た、確かに。この一年。竜一は受験のために低かった点数をやっとこそ上げた。
そして、合格ラインまで頑張ってた。)

「それもある、ね。」

「図星なんだね?」

「…」

私は黙って頷いた。

何かを考えながら…


「え、南雲って大学受験してたんだ…」

ひとりだけ分かっていないみたい…

「…俺は、兄さんは殺さない。嫌、殺すことなんて出来ない。それだけは覚えていて欲しいよ、真緒ちゃん。」

「た、大気君…うん、疑っちゃってごめんね。ううん、疑ったんじゃない試してごめんね。」

「ううん、いいんだ。俺は、兄さんを屋上から落とした奴を一刻も早く見つけてほしい。

警察には連絡しないの?」

(…)

「しないよ。これは私と杏美と中島君や小夜ちゃん、大気君で捕まえなきゃ。
竜一に最後に出来ることはこのくらいしかできないんだから。」


ふと、前髪で隠れている目から涙が…

「た、大気君…?」

「あ、嫌。へへ、恥ずいな。」

「ううん」

私と杏美はそのまま帰った。

そして、今。

何かが動こうとしている ━━━━。




- 卒業まで残り20日 -

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