第16話

デート 番外編 Feat.杏美
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2018/03/13 02:38
真緒と中島・小夜ちゃんが南雲家に行った日。

私は何をしていた?

それはね、初恋の相手とデートです!

電車で会ったあの人は何と!
江藤圭の友達でした。

この前、大学へ行った日に声をかけられこれまたビックリ!

そして、その人と今日はお出かけです!
念願のデート!

ひとり待ち合わせ場所で妄想を膨らませていると

「あ、杏美ちゃん。もう来てたんだね早いな~」

「あ、はい!楽しみすぎて早く来てしまって~っては!」

何この服装!
イケすぎでしょ!

春に合うその色。
そよ風に揺れる茶色の髪。
背も十分に高くて頼もしい背中。

最高すぎる…

「あ、そういえば杏美ちゃん」

「は、はい?」

「どこ行きたい?まだ場所までは決めてなかったよね」

「あ、それもそうだったような…どうしましょーか」

「「MMCのCDがある!」」

と私たちの周りにいた女の子達が騒いでいた。

最近、流行りのバンドMMCのCDが今日発売…!?

「たたた、(猪又)巧さん!あの店行きましょう!」

「MMCのCDだって!やば…」

と巧さんも興奮気味だった。

「巧さんも好きなんですか?MMC」

「ああ、なんか歌詞が良くてハマってんだよな~」

「わあ!偶然!私も最近ハマってて大好きなんです。」

「お、まぢ!じゃ、行こうか?」

「はい!」

巧さんと趣味が被ってて嬉しいな~。
えへへ。

「「うっわー!限定盤!」」

私と巧さんの言葉が被った。

(どど、どうしよう!買おうかな!?でも、今月お小遣いピンチー!うわぁ…毎回コンビニでチキン買ってるからお金が…とほほ)

「俺、買おうかな~杏美ちゃんは?」

「わ、私は、今月ピンチで…欲しいけど買えない…」

そしたら巧さんは少し考えてそのCDを取り言った。

「じゃあさ貸そうか?俺、CDを携帯とかに移せるんだけど?」

「え!ほんと!いいんですか!」

「ああ、杏美ちゃんも好きなんだろ?だから、いいじゃん」

「巧さん神!」

そして、そのCDを巧さんが買ってすぐにカフェに行き、パソコンでやってくれた。

「巧さんってどうしてパソコン持ち歩いてるんですか?」

「…あ、ああ。これね彼女からもらった大切なものなんだよ」

「か、彼女?巧さんって彼女いるんですね」

愕然とした。
ついさっきまで楽しかったものが硝子のように砕けて…

「…でも、もういないよ」

「…え?」

巧さんはうつむいて言った。

「亡くなったんだよ。事故で。」

「じ、事故…?」

「そ。ほんとなら一命を取り留めてたはずなんだ。でも、彼女は昔から身体が弱くてね、それで亡くなったんだ。」

「…ご、ごめんなさい。変なこと…」

「嫌いいんだよ。彼女は最後に言ってくれたんだ。『幸せになれ』って。」

「……ッ」

私バカだった…
自分だけ浮かれて…

巧さんはその彼女さんのことを誰よりも思ってる…私じゃ適わないよ…


後編へ続く。


~読者さんへ〜
ぜひ、真緒の親友の杏美の恋を応援してください!

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