あなたside
蘭さんと鶴蝶さんが出ていった後、三途さんも部屋を出ていった。
残ったのは私と九井さん。
私たちは無言で仕事を片付けていた。
私は九井さんの質問に目を見開いた。
分からない。それが私の中での正解なんだろう。
さっきから九井さんがなんでこんな質問してくるのかが分からない。
声は落ち着いてるけど表情が少し曇っているようにも見える。
…まずいことを言ってしまった。
幸せだったら蘭さんの元から離れると言ったみたいなもの。蘭さんの顔が…見れない。
私たちが話してるうちに入ってきたのか、蘭さんは静かにソファに腰かけてこっちを見ていた。
そして鶴蝶さんと三途さんと竜胆さんと首領の姿。
何かを告げられるのは一目瞭然だった。
そう言いながら私にスマホを見せる蘭さん。
そこには『売った人と売ったもの』
つまり、私と父のことが書かれていた。
内容は全て私のことを把握しているような内容で
私はなんとも言えない気持ち悪さに襲われた。
怖い。
気持ち悪い。
どこから見てるの。
今も見られてるのか。
もう吐いてしまいたい、
ぐちゃぐちゃのものを飲み込みたくない。
『誰も見てない』…蘭さんが言うならそうなんだろう
私は蘭さんの呼吸な息をゆっくり合わせ、何とか持ちこたえた。それでも…気持ち悪い。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。