第49話

49話
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2021/12/04 06:50
あなたside


蘭さんと鶴蝶さんが出ていった後、三途さんも部屋を出ていった。

残ったのは私と九井さん。

私たちは無言で仕事を片付けていた。
一
…なぁ、お前はここで暮らすの好きか?


私は九井さんの質問に目を見開いた。
あなた
好き…なんですかね、分からないです
分からない。それが私の中での正解なんだろう。
あなた
私はここで暮らす以外のことを知らないですし、ここで暮らすことが幸せなのかも…分からないです。
一
…そうか
一
ならもし、お前の目の前に幸せになれる場所を見つけたとしたら…お前はそっちに行くか?
さっきから九井さんがなんでこんな質問してくるのかが分からない。

声は落ち着いてるけど表情が少し曇っているようにも見える。
あなた
…蘭さんの下に着くより幸せで首領の許可が頂けるのなら…行きます。
一
…そうか
蘭
俺の下に着くより幸せなことってある?
一
おま、いつの間に!?
あなた
…まずいことを言ってしまった。
幸せだったら蘭さんの元から離れると言ったみたいなもの。蘭さんの顔が…見れない。


私たちが話してるうちに入ってきたのか、蘭さんは静かにソファに腰かけてこっちを見ていた。


そして鶴蝶さんと三途さんと竜胆さんと首領の姿。


何かを告げられるのは一目瞭然だった。
万次郎
万次郎
あなた
あなた
は、い…
万次郎
万次郎
お前の親から蘭のところにメールが来た
あなた
メール…?
蘭
コレ
そう言いながら私にスマホを見せる蘭さん。

そこには『売った人と売ったもの』


つまり、私と父のことが書かれていた。


内容は全て私のことを把握しているような内容で
あなた
う"ッ…お"ぇ…ゲホ…ぅ"ぅ"…

私はなんとも言えない気持ち悪さに襲われた。


怖い。


気持ち悪い。


どこから見てるの。


今も見られてるのか。
鶴蝶
鶴蝶
…あなた!!
あなた
い"、、や…
竜胆
竜胆
…ちょっと刺激が強すぎたんじゃない?
万次郎
万次郎
あぁ…分かりきってたことだ。
春千夜
春千夜
……
もう吐いてしまいたい、

ぐちゃぐちゃのものを飲み込みたくない。

蘭
はい、あなたちゃーん?深呼吸して〜
あなた
う"ッ…い"ッぁ…
蘭
落ち着け。誰も見てねえから
『誰も見てない』…蘭さんが言うならそうなんだろう

私は蘭さんの呼吸な息をゆっくり合わせ、何とか持ちこたえた。それでも…気持ち悪い。
万次郎
万次郎
…あなた。話を戻すみたいで悪いが…行くか、行かないか…どうする?

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