竜胆side
場の空気は首領の一言で固まった。
多分三途自身も聞かされてなかったこと、当たり前に三途もその場で固まった。
あなたの付きってことだろ?
なら三途より他の奴らの方が適任に決まってる。
何より1番の被害が出そうな三途に任せるわけがねえと思った。
誰も考えてなかった可能性に当たったからか。
誰も口を開けようとしねえ。
三途は顔を顰めながらそう問う。
そんな三途に首領は一言で返した。
兄ちゃんの言葉に戻された全員はハッとした様な様子であなたを見た。
三途と首領もそれに流されるように見る。
何かに怯えて純情じゃないくらいに震える手足。
そんな手足で耳を塞ぐ姿。
三途はそんなあなたをみて静かに近付いた。
三途は無言で片足を引き、あなたの腹を蹴った。
俺は目の前で起こったことに反応できなかった。体が動かねえ、そんな状態だ。
そんな俺らを無視して三途はあなたを蹴り続ける。
それでも一向に耳を塞いだまま震えるあなたに近づく三途。
三途の怒鳴り声にビックリしたのかさらに耳を塞いで目を閉じたあなた。
そして俺は疑問に思った。
なんで兄ちゃん…何も言わねえの?
歩みを止めない三途に怯えるあなたを見ても、兄ちゃんは指1本動かそうとしねえ。
どうも動かない兄ちゃんを諦めて俺は三途の方に行こうとした。
その時にやっと兄ちゃんは口を開いた。
なんで止めるのが俺なの?
普通に止めんのは三途だろ…?
また何か考えてんのか知らねぇけど、また失敗しました、はもう許されねえ…。
三途は腕を振り上げて完全に殴る姿勢に入った。
やべえ、九井ですら意識を飛ばしかける三途の殴りをあなたがモロに食らったら…確実に死ぬ。
あなたがそう発すると兄ちゃんは、有り得ねえ速さで三途の腕を掴んだ。
いや本誌読んだんだけど、蘭ちゃんの方が竜胆よりまとも人…心ある説を私は作る…。
あと今回の蘭ちゃんは完全に妄想から作りました。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!