蘭side
俺が手を引くと静かに後ろを着いてくるあなた。
今は俺に安心したのか震えは無くなったように思う。
あなたが完全に俺に怯えていた。
怖かったのか大量の涙を流した。
多分、あなたからしたら俺のことはいつもの三途みてえに見えてたと思う。
なんなら変わる前の俺か。
別に…あんな顔させたかった訳じゃなかった。
俺をいつでも慕ってきたくせに、出来もしねえのに自分でやろうとして
挙句の果てには『三途に助けてもらう』って言って離れていこうとしたことが腹たった。
自分でも独占欲が強えことは理解してる。
あなたに限らず他の部下が、俺の居る場で俺以外を頼ろうとしたらブチ切れどころじゃねえ。
そんなことをボソッと呟いたが、あなたには届いてないように見えた。
メンヘラ…か。
なんか九井が…誰だっけ、イヌピー?ネコピー?そんな名前のやつになってた気がする。
あれは傍からみてもガチめんどくせえ女だったわ。
それにしてもあなたと黒川が最後に別れた場所か…。
黒川との思い出がフラッシュバックしたあなたは隙が多い。
相手が一人で来るかわかんねえ以上…こっちも部下何人か連れてった方が安全度は上がるか。
そんなことを考えながらほぼ全員が居る部屋にあなたを連れて入った。
お前のせいだよなんて言ってやりてえけどこいつマウント厨だからめんどくせえんだよな。
俺は軽く嘘ではないことを伝え、九井の方にあなたを連れて行く。
俺は九井の口を塞いで、耳元で呟いた。
鶴蝶は信用してねえわけじゃねえだろうけど、あれから話してねえように見えるし。
なんならアイツも黒川との思い出フラッシュバックするだろうからな。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!