第28話

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2021/02/07 08:27
達也
達也
…ん…




見慣れない天井。







俺、いつのまにかまた意識失ったんや…








けど…ここはいったいどこや…?




ふかふかなベッドの上にいた。







ガチャ








風見七虹香
風見七虹香
あ、目覚めましたか?







ん…?なんかいい匂いする…









見てみると







女の子がお盆に、お粥とお水と










病院で貰ったであろう薬と熱冷シートがあった。










なんか俺…いろいろお世話になっちゃったんか?







そんなことを思い、ジッと見ていると







風見七虹香
風見七虹香
…あ、ベッドちゃんと消臭しておきましたので!



は…。







そこ?w






別に俺は気にせんのに…










って…この子が嫌か…。





風見七虹香
風見七虹香
汗、拭きますか?
達也
達也
…あ、ごめん…



きっとこの子のベッド








俺の汗だらけになったに違いない…





風見七虹香
風見七虹香
わたしの服で申し訳ないですが
スエット着てもらっていいですか?



そこには、灰色のスエットが。





風見七虹香
風見七虹香
…わたし、間違えて大きいサイズ買っちゃった事があって…だから飛び抜けて小さいって事はないと思います。



俺は、熱のせいにして






お言葉に甘えることに。



体を起こそうとした時







肩にそっと手が添えられた。







自分の私服を脱いで








汗ばんだ体を自分で拭いた。
風見七虹香
風見七虹香
あ、背中拭きますよ



この子…何をサラッと……







そうは思っても









ベタベタな体が嫌で甘えることにした。





達也
達也
…お願いします





顔は見られなくて済むから…まだマシやな





風見七虹香
風見七虹香
失礼します



汗拭きシートの清涼感が広がっていく。



達也
達也
……ゴボッ、ゴホッゴホッ



俺は咳をした途端





女の子は慌てて背中をさすってくれた。



俺の背中に







汗拭きシートではなく









直に女の子小さい手の体温が伝わった。







俺は咳が止まらなくて、ちょっと焦った。









…まさか…








この風邪、ハルと大我に移してないよな…?








特に、ハルは喉がめちゃくちゃ大事やのに









俺は少し、全身が余計寒くなった。





やべ…苦しい。








昔、喘息持ちだったから咳が止まらないと









めちゃくちゃ焦る。










すると、女の子はベッドに乗ってきて



横から俺の肩を抱いて






背中をさすり続けてくれた。






俺の耳元で優しいささやき声がした。




風見七虹香
風見七虹香
大丈夫 、大丈夫……落ち着いて……
達也
達也
ゴボッ………コホッ………はぁ……
風見七虹香
風見七虹香
………よかった、治りましたね




それでもまだ







背中をさっきよりゆっくり撫でてくれてる。








それが心地いいのに








恥ずかしくて汗がまた滲んできて








せっかく背中を拭いてくれたのに









また拭かないといけなくなるから…





達也
達也
…ありがとうございます…もう大丈夫
風見七虹香
風見七虹香
よかったぁ



なんでそんな顔できんの?






なんでそんな優しい顔できるんだよ。

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