見慣れない天井。
俺、いつのまにかまた意識失ったんや…
けど…ここはいったいどこや…?
ふかふかなベッドの上にいた。
ガチャ
ん…?なんかいい匂いする…
見てみると
女の子がお盆に、お粥とお水と
病院で貰ったであろう薬と熱冷シートがあった。
なんか俺…いろいろお世話になっちゃったんか?
そんなことを思い、ジッと見ていると
は…。
そこ?w
別に俺は気にせんのに…
って…この子が嫌か…。
きっとこの子のベッド
俺の汗だらけになったに違いない…
そこには、灰色のスエットが。
俺は、熱のせいにして
お言葉に甘えることに。
体を起こそうとした時
肩にそっと手が添えられた。
自分の私服を脱いで
汗ばんだ体を自分で拭いた。
この子…何をサラッと……
そうは思っても
ベタベタな体が嫌で甘えることにした。
顔は見られなくて済むから…まだマシやな
汗拭きシートの清涼感が広がっていく。
俺は咳をした途端
女の子は慌てて背中をさすってくれた。
俺の背中に
汗拭きシートではなく
直に女の子小さい手の体温が伝わった。
俺は咳が止まらなくて、ちょっと焦った。
…まさか…
この風邪、ハルと大我に移してないよな…?
特に、ハルは喉がめちゃくちゃ大事やのに
俺は少し、全身が余計寒くなった。
やべ…苦しい。
昔、喘息持ちだったから咳が止まらないと
めちゃくちゃ焦る。
すると、女の子はベッドに乗ってきて
横から俺の肩を抱いて
背中をさすり続けてくれた。
俺の耳元で優しいささやき声がした。
それでもまだ
背中をさっきよりゆっくり撫でてくれてる。
それが心地いいのに
恥ずかしくて汗がまた滲んできて
せっかく背中を拭いてくれたのに
また拭かないといけなくなるから…
なんでそんな顔できんの?
なんでそんな優しい顔できるんだよ。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。