ステージの明かりがついて
3人の男の人がバンッ!っと現れた。
キャアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!
ファンの女の子達なのか
すごい黄色い歓声が響き渡った。
「たいたーい!!」
「達也くーん!!」
「ハルー!!」
ゆいも喉が痛くなるんじゃないかと思うくらい
叫んでいた。
やはりさすがはバンドマン
3人共イケメンなんだなぁ〜……ん?あれ?
うちはギター担当?の人に目が止まった。
…なんか、どこかで……
あ…この人…
昨日の……?
いや、似てる人かもしれない。
違う人かも。でも
にしては、あまりも似すぎている。
ん?なにが始まった…?
うちは、1人でだいぶパニックになっていた。
キャアアアアアアアアアアアア!
これは、世で言う「煽り」?かな。
なんか…すご。
なんというか迫力が…
うちはその煽りに驚きすぎて
周りは騒いだり名前を呼んだりして
盛り上がってるなか
うちだけ棒人間のように
ただ立ち尽くしていた。
曲が始まったようだ。
横にいるゆいなんて
何かに感動しているのか、涙を流していた。
ライブで泣くようなところあった?
ダメだ…うちにはさっぱり分からん…
こんな事ならYouTubeで
ライブ見ておくんだったな…。
ゆいに言われて、見ると
視線がぶつかった。
やっぱりあの人…
昨日の人なのかな…
すごいなんか…モヤモヤする
それに…胸が…
うちはその場に座り込んでしまった、
どうやら人酔いをしてしまったらしい
ゆいがうちの耳元で大きめな声で言う。
ヤバい…頭もズキズキしてきた…
うちは頑張ってゆいの耳元で
と言って
フラつきそうなのを粘りながら
うちは立ち上がって少ししゃがみながら
こっそり、ライブ内から出た。
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うちは外に出て、近くの椅子に座っていた。
やっぱりうちにはあういう所は
場違いでしかなかったな…
なんか、途中から出て行ったり
周りのテンションに合わせられなかったり
てか、そもそも来るなって話なんだよね。
なんか…ライブしてる人に
悪い事をしてしまったように感じた。
あのギター担当の人も…ただのそっくりさんなのか
それとも…
あ、分かんない!!
とにかくゆいにLINEと
不意にあくびが出てしまった。
ウトウトする…
いつのまにかうちは、椅子に座りながら
深い眠りについた。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!