side:YOU
頭を下げる月島くんに顔をあげてと何度も言うけれど
彼は全く動かない。
確かに彼に言われた言葉には傷ついたけれど
そんなの現役時代にはよく言われていたことだ。
私も天才だったらよかったのに、とか
才能があるとやっぱり違うね、とか。
その度私はこれは才能なんかじゃない、私は天才なんかじゃない、
私の上辺だけを見ないで努力しているところも見てほしいと思っていたけれど
今ではすっかり言われ慣れてしまって、
そうヘラッと笑いながら月島くんに言うと
彼の肩の上に乗せていた腕がガシッと掴まれた
『!?』
月島「 … れ、いで。」
『 … ん?』
月島「 慣れないで。… そんなの、言われ慣れちゃダメでしょ 」
『!!、』
月島「 反論しなきゃ、そうじゃないと君が君でなくなっちゃう。… いつかきっと天才を演じるようになっちゃう 」
そうして彼は目を逸らして
色白の肌をほんのり赤く染めながらぶっきら棒に言い放った
月島「 … 僕は、君のバレーボールがすきだよっ、」
『 …!、ありがとう 』
月島「 … ん 」
嬉しかった。
私のバレーが人の心に残り、
その人の人生に刺激を与えたことが、
そして何よりそれをすきだと言ってくれたことが
とてもとても嬉しかった。
嬉しくて、もう一度言ってもらいたくて
月島くんにお願いしたけど
月島「 は?言わないよ。」
と冷たく返されてしまい、
彼はスタスタと合宿場へと歩き出した
その後を追って私も合宿場へと戻る
侑「 あなたーー!!無事かっ!!」
治「 よかったぁ、無事みたいやな … 」
谷地「 すすすすみません私のせいで、!、切腹しますっ、!!!!!」
東峰「 ちょっとやっちゃん?!!?」
日向「 おかえりなさいっ!!今日の晩ご飯はなんですか!!!」
影山「 肉に決まってんだろ日向コラァ 」
月島「 … はあ、うるさ 」
帰ってきた瞬間、みんなが私を囲む
そんな光景に月島くんはうんざりした様子
繋心「 コラあなた!!勝手に1人で出歩くなって言っただろうがっ!!」
『 け、繋ちゃん … ごめんなさい 』
繋心「 はあ … とにかく無事でよかった 」
『 月島くんが助けてくれたよ 』
北「 てことはまた絡まれとったんやな 」
『 げっ、… 信くん、、』
北「 … 今度からは出かける時は一言かけるんやで、分かったな???」
『 はい、…… なんか繋ちゃんと信くん、お父さんみたい 』
侑「 ぶっ 笑笑笑笑笑笑 」
北 / 繋心「「 なんやって?/ なんだと?」」
『 いなんでもないです。』
そう縮こまっていると
飛くんがあ、と声を上げた
影山「 月島と何かありました?なんか、雰囲気が変わりましたね 」
『 ん、仲直りした!』
日向「 えぇ!あなたさんと月島って喧嘩してたんですか?!!」
『 んん、喧嘩っていうのあれ?』
月島「 喧嘩?いや、ちょっと違う 」
西谷「 おい月島!!あなたさんに何したんだぁ!!?ちゃんと謝ったのか??」
月島「 え、」
田中「 ちゃんと謝れ!!!ホントすみませんあなたさんっ、強く言っときます!!」
『 あ、いや私も悪かったから大丈夫だよ 』
田中「 いや絶対確実に月島が悪いんで!!」
月島「 なんで僕が悪いの前提なんですか 」
田中「 当たり前だろっ!あなたさんが悪いわけないだろーが 」
月島「 わあ、すごい偏見 」
西谷「 頭下げろ月島っ 」
月島「 だから謝って仲直りしましたってば 」
『 あはは、』
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編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。