side:YOU
体育館を出てすぐに月島君が出ていった方向にいかけたけれど、
姿が見えなくて引き返す。
すると第一体育館から出ていく姿が見えて
彼に駆け寄った
『 月島くん!!』
月島「!…… 何、」
私の姿を見て少し驚いた顔をした彼は
次の瞬間にはまた冷たい表情に戻っていて
私は彼の前に一歩出て話し始める
『 月島くんはさ、バレーすき?』
月島「 … 嫌いではないけど。」
『 そう、ならもう少し本気でやってみない?』
月島「 もう嫌ってほどやってるじゃん、がむしゃらにやればいいってもんじゃないでしょ。」
『 まあ、それもそうだけど。… でもさ、強くなったら楽しいよ!3本の指とか言われてるスパイカーを止めた時なんてもう …!!』
月島「 別に、高校3年間安全に怪我なく内申にも響くことないような部活がしたいだけだから 」
そう下を向く彼。
ああそうだ。やっぱり彼は ………
『 月島くんさ、バレーに対して恐怖心があるよね 』
月島「!…… どうして、」
『 んー、なんか自分でバレーから距離取ってるように見えるからいい思い出ないの?ねぇ、一体君は何を __ 』
月島「 天才のアンタに何が分かるって言うの?」
私の言葉を遮りそう言う月島くん。
私を見る瞳には怒りがこもっていて少し怖い、
どうやら鉄朗以上に地雷を踏んでしまったらしい
月島「 天はニ物を与えず、ってまさにその通りだよね。今の時代、才能が全てなんだよ。才能がない者はどれだけ努力してもチャンスなんてやってこない、そして馬鹿にされて、虐げられて …。
天才はそんな人生歩んだことないでしょ?」
感情がよく読み取れないような目で
そう問いかけられる。
それが苦しくて上手く答えれないと、
彼は肯定と受け取ってしまったらしい
月島「 ふっ。どれだけ努力してもさ、結局報われないならやるだけ無駄じゃん?だから僕はそこまで部活に命をかけてないしかけたいとも思わないんだよ。
でも … 僕も君みたいな天才だったら違ったかもね。
実際世の中なんて平等にはできてないんだよ 」
彼はそう言うと私の横を通って行ってしまった
今度は追いかけられなかった
体が鉛のように重くて、息が苦しくて、
私は天才なんかじゃないと否定したくてもできない
そんな時だった …
山口「 あなたさん、」
『 ………… あ、山口くん …?』
月島くんの友達の山口くんが
目を伏せながら申し訳なさそうに話しかけてきた
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編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!
転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。