side:YOU
合宿3日目。
なんだか月島くんの雰囲気が昨日とは違うことに気がついた
けれどまた軽率なことを言うと彼を傷つけてしまう、
そう思い素直には聞けなかった。
本日の烏野のマネをやることになった私は
部員に挨拶をし、監督の方にも挨拶に行く
『 繋ちゃんと武田先生もよろしくお願いします 』
繋心「 バシバシしばいてやってくれ 」
『 いや、今日はマネージャーだからね?』
武田「 あなたさんがマネージャーとは心強い限りです。僕からもよろしくお願いします 」
『 えぇ … だから今日はマネージャー業だけですってば、』
困った顔を浮かべていると
隣から勢いよく頭を下げられてびっくりしてそちらを見る
谷地「 あなた先輩!今日はお願いシャス!!」
『 あ、仁花ちゃん!そんなかしこまらなくていいよ!?むしろ仁花ちゃんの方が烏野バレー部では先輩だしさ??』
谷地「 いやでも、足を引っ張らないよう精精精精精一杯やらせていただきたく存じます ← 」
『 うんなんか聞きなれない日本語だし精多くないか??笑 』
谷地「 シャチ!!」
『 … とりあえず、気楽にやってこうか 』
可愛くてみんなから尊敬されていて自分の憧れである
あなたと一緒に仕事ができるなんて、と
彼女が上りに上がりまくっていることを知らずに
もう話が通じないと理解したわたしは
とりあえず仕事をしようと指示を出す。
スポドリやらの準備作業を仁花ちゃんとやっていると
梟谷との試合のタイムで繋ちゃんに呼び出された
『 どうしたんですか?』
繋心「 この試合、お前はどう思う?」
『 え、どう思うって突然言われても …… 』
えぇ、と思いながらも烏野のみんなは私の意見に真剣に耳を傾けているので
適当なことを言えるわけでもなく、
少し考えたあと少なくとも、と言葉を続ける
『 木兎さんのスパイクは強いから止めるというより少しでも触るのを意識した方がいいと思う。
ワンチするだけで余裕が生まれるから、西谷くんや澤村さんが取りやすくなると思う 』
月島「 止めなくてもいいんですか 」
私の言葉に対して月島くんがそう返してきた
その顔を見た途端、私はドクリと心臓が音を立てて
ザワザワと何かが立ちはじめた。
なんだこの子は、なんだその目は …
まるでなんでドシャットしないんだと監督に怒られているような気分だ
一体昨日何があったんだ
繋心「 … いいや、ドシャットできんなら願ったり叶ったりだ 」
繋ちゃんがそういうと月島くんは黙ってコートに戻っていって、
そうして試合開始直後 …
木兎「!!」
『 … あっ、!?』
田中「 フェイント!!」
ブロックを上手く躱されてしまったものの
あの5本の指に入るスパイカーに
気持ちよく打たせなかった
『 繋ちゃん 、今の … 』
繋心「 ああ、」
昨日、彼の中できっと何かしら
バレーに対して変化があったのだろう
その時初めて、彼が怖いと思った。
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編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。
登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。