店内には美味しそうな紅茶の香りとと甘い匂いが漂う。
私は、スノードームの中のキラキラを舞わせ、音楽が鳴ったことを確認して
水樹さんの元へ駆け寄った。
私は甘いものに目がない。
お腹がいっぱいでもお菓子は別腹だ。
水樹さんがくれたお菓子は、
小さなお城の形のケーキに白い粉がかかっている。
粉雪の城…か
そう言って水樹さんは、紅茶を用意してくれた。
一口サイズ…ならぬ三口サイズほどに切り分けてもらったケーキを頬張る。
いつものって言えるほど常連さんなんだなぁ…
ここに来たら、山田涼介に会えるんだ…✨
なんか、すごい事を知ってしまった気持ちで少し後ろめたくなる。
それより…オススメってなんなんだろう…
ーーーーーーー数分後ーーーーーーー
そう言って水樹さんが持ってきたケーキは
とても美味しそうだった。
そう言って得意げに笑う山田さんの前に可愛いケーキが置かれた。
そう言って食べる山田さんの顔が綺麗でしばらくボーッと見ていたら…
慌ててさっと視線を落とすと、
向かいに座る山田さんはふっと笑った。
いきなりの顎クイであたふたしている私の口元に、山田さんの食べているケーキが
持っていかれ口に入れられた。
やばい…今絶対顔赤い…
ほてる顔を必死に抑えていたら、水樹さんが首をすくめた。
少し恥ずかしがっていたが山田さんはいたって冷静だった。
そんな言葉は、私の胸をちくりと刺した。
そらそーだよね。
向こうは大人。こっちはまだ子供だもん。
そう言って、私に小さな紙を渡して帰っていった。
そう言って私は店を後にした。
帰り際、ポケットに入れた山田さんにもらった小さな紙に触れた。
こんな所で会えるなんて思わなかった…。
有名人に。
いつもテレビでは見せていないような一面も観れた気がして
自然と笑顔になる。
そして、私は家路へと急いだ。
また、あの場所で会える事を夢見て。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。