※本作は『KADOKAWAアニメ・声優アカデミー』を紹介するプロモーション作品です
リビングのソファの上で、妹の舞香がクッションを抱えたまま叫んだ。
テレビに映っているのは、私たちが大好きなアニメの最終回。
配信でいつでも見られるようになってから、もう何回も再生している回だ。
それなのに、また見ている。
というか、たぶんこれからも何回も見る。
ストーリーも展開も全部知っているのに、このシーンになると毎回胸の奥がぎゅっとなる。
画面の中で、主人公が静かに息を吸った。
私は思わず口を開く。
次のセリフを、もう覚えているから。
テレビとほとんど同じタイミングで、私の声が重なった。
するとすぐ横から、舞香が続ける。
二人で同時に言い終わって、顔を見合わせた。
舞香がしみじみ言う。
私は小さくうなずいた。
主人公の声は涙まじりで震えているのに、ちゃんと前を向いている感じがして。
何回聞いても、ぐっとくる。
エンディングが流れ始めると、舞香が画面を見ながら言った。
エンディングテーマも、この人が歌っている。
サビに入ると、私はつい小声で口ずさんでしまう。
何回も聞いているから、メロディも歌詞もすっかり覚えていた。
すると舞香が、急に思い出したように振り向いた。
思わず笑ってしまう。
この前カラオケに行ったとき、私は好きなアニメの主題歌を何曲か歌った。
舞香がやたら盛り上げてくれるから、ついノリでいろいろ歌ってしまっただけだ。
そう言いながら、またテレビをぼんやり眺める。
キャラクターたちのイラストが、ゆっくり流れていく。
さっきまで主人公を演じていた声優さんの名前も画面に出ていた。
そのとき。
舞香がぽつりと言った。
思わず、聞き返した。
舞香はテレビを見たまま、当たり前みたいに続ける。
私は苦笑した。
自分の声がいいなんて、そんなふうに考えたことなかった。
すると舞香がこっちを向く。
舞香は少し考えて、それからまた言った。
そう言って、にこっと笑う。
私はぐっ、と言葉に詰まった。
まさか妹にそんなこと言われると思ってなかったから。
声優。
そんなの、遠い世界の話だと思っていた。
アニメは好き。
歌うのも好き。
セリフを真似して遊ぶのも楽しい。
でも、それで「声優になる」なんて。
私は小さくつぶやいた。
舞香は首をかしげる。
適当な相槌を打ちながら、スマホを手に取った。
なんとなく検索画面を開く。
少し迷ってから、文字を打ち込む。
声優 どうやってなる
検索ボタンを押すと、いろんなページがずらっと並んだ。
養成所。
専門学校。
オーディション。
ずらずらといろんな文字が並ぶなか、目に留まったのはその文字だった。
なんとなく、私は大学に行くんだろうと思っていた。
特別な夢があるわけでもないし、みんなだいたいそういう進路だから。
でも、こういうところで、勉強できるんだ。
知らなかっただけで、ちゃんと道があるんだ。
スマホの画面を見ながら、私はぼんやり思う。
声優って、どうやってなるんだろう。
その答えを、私はまだ知らない。















編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!