みんなの可愛らしい…だけども意味が分からない寝言を
鼓膜ギリギリに受けた私は、重たい目蓋を開いた
いつものようにダヒョンとモモはハグし合って眠り、ナヨンは
ジョンヨンの首筋を潰さんとばかりにプロレス技を決めている
ツウィは…いない
今現在家の中で唯一正常に動いている時計の針は、ちょうど
8時を指していた
見間違いかと思い何度も確認する
角度を変えたり、目を動かしたりもした
だけど、間違いなく時刻は8時
やらかした、完全に寝坊した
みんなの声は私の耳には全く入らず、長い廊下を跨ぐことの
ないこの家の単純な設計に初めて感謝しながらツウィを探す
…あれ?
台所にツウィがいない…
何で…まさかどこかで倒れてるんじゃ…!
今日何回目かの驚き
ツウィはパーカーの下に真っ青なツナギを来て、片手に
ヘルメットとタオルを持って帰ってきたのだ
ツウィは珍しく寝ぼけているのかと思ってカレンダーを見ると
『夏休み!』と可愛くデコレーションされていた
寝ぼけていたのは私だったみたい
叩き起こされたジョンヨン達は、寝ぼけ半分不満半分と
いった感じ
私ドジすぎるでしょ…
ナヨンから全てを聞いたツウィは、おかしそうに笑っている
…恥ずかしい…
全然気が付かなかった
私達を起こさず、そんな早くから…
私がもっと元気で、丈夫だったら
ツウィにこんな思いをさせずに済んだのに
その申し訳ない感情を汲み取ってくれたのか、ツウィは
何てことなさそうにナヨンを抱き上げてにっこりと笑った
そのツウィの声を聞いてしまったら、もう『無理しないで』
なんて言えなくて
ちょっと買い物言ってくる~と言って再び出ていったツウィを
見送ることしかできなかった
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。