第55話

第54話
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2022/04/11 10:51
サナ
サナ
…さっきはありがとね
チェヨン君がいなかったら多分私土下座してた…
チェヨン
チェヨン
全然、偶々職員室行ったらサナ先輩があのウザ教師に絡まれてたんでびっくりしたっすよ
間に合って本当よかったっす
何てことなさそうに首を振って笑うチェヨン君に、流石

人気者だな、なんて呑気に思っていると、ふとある疑問が

頭をよぎる
サナ
サナ
そういえばチェヨン君、さっき何見せてたの?
あのスマホの画面を見せただけで先生は怯えていた


何だろう、脅迫文とかかな?
チェヨン
チェヨン
さっき?…あ、スマホの画面すか?
サナ
サナ
うん、どんなすごいの見せたのかと思って
チェヨン
チェヨン
あれ、ただ録音してた画面見せただけっす
サナ
サナ
録音!?
チェヨン
チェヨン
何かヤバそうなこと言ってたし、ああいうタイプの教師って絶対言い逃れするじゃないすか?
だから証拠残すのが一番手っ取り早いんすよ~
す、すごい…!


チェヨン君ってすごく頭良かったんだ…初めて知った


行動力も、咄嗟の判断力も、先生に立ち向かえる努力も


全部全部、私とは大違いだな…
チェヨン
チェヨン
アイツがあんなクソ教師だとは思いませんでしたよ
名字言ったら速攻手のひらクルクルで
絶対アイツ、親父にビビったんだ
サナ
サナ
チェヨン君の父ちゃ…お、お父さん、お金持ちだもんね~
チェヨン
チェヨン
まぁ寄付金とかもあると思いますけど、うちの親父役員のお偉いさんなんで
色々バレるとヤバいって思ったんじゃないすか?
父ちゃんか…チェヨン君のお父さんはすごいな


あんなにお金持ちで優しくて家族想いなお父さんがいたら

よかったのに


そしたら母ちゃんは…ツウィは、あんな想いをしなくてすんだ


ジョンヨン達にも、寂しい想いをさせずにすんだのに…



…父ちゃんが、あんな奴になってしまったから
チェヨン
チェヨン
…さ……ん……サナ先輩!
サナ
サナ
ん…あっ、ど、どうしたのチェヨン君?
チェヨン
チェヨン
いや、何かぼーっとしてたんで…大丈夫ですか?
サナ
サナ
ご、ごめん!ちょっと考え事!
あ、それよりチェヨン君、ツウィ…君は一緒じゃないの?
チェヨン
チェヨン
…ツウィ、か…
何とか話題を逸らそうと何となく思っていたツウィの話題を

持ち出すと、なぜかチェヨン君は気まずそうに視線を逸らした


最近ツウィを見ても、横にいるのはチェヨン君じゃない

取り巻きみたいな男の子やたまに女の子


喧嘩した…わけではないと思う


ツウィから普通にチェヨン君に話しかけに行っていたから
サナ
サナ
ツウィ君と、何かあったの…?
チェヨン
チェヨン
うーん…アイツは一切悪くないんすよ
ただ俺が…勝手に気まずさ感じてるだけです
サナ
サナ
そっ、か…
そういえば最近、ミナちゃん達とご飯一緒に食べてないよね?
中々会えてないんじゃない?
チェヨン
チェヨン
っ…
ん…?


気のせいかな、今ミナちゃんの名前を出したら一瞬だけ

動揺したような…


ミナちゃんとも何かあるのかな
チェヨン
チェヨン
おっ…俺帰りこっちなんで!
お疲れ様っした!!
サナ
サナ
あ、う、うん!
ツウィに負けないくらいの足の速さで私とは反対方向に

走っていくチェヨン君


いくつか謎を残したまま、私の一学期は終了したのであった

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