第70話

❤69 HOKUTO
758
2021/03/08 03:31
その日、大我が来る前に帰ろうとすると、
グイッ
『キャッ!』


大「今夜は俺ん家って言ったよね?」


『行かないってば!』


大「俺は言ったから。」


『ちょっと!』
生憎、今日は北斗は用事があるらしく

迎えには来れない日だった
『大我、待ってよ!』


大「待たなーい」


『可愛く言っても無駄だから!』


大「あなたは俺を好きになるんだよ?」


『っ、、、』
それを言われると何も言い返せない。

そして、ついにやって来てしまった大我の家

でも、ここで厄介なのは実家じゃなくて

1人暮しになっていたこと。

ドアをくぐれば大我に抱きしめられる。
『大我、』


大「好きだよ。」


『うん。』


大「大好きだよ。」


『うん』


大「愛してるよ。」


『うん』


大「あなたは?」


『、、、』


大「ねぇ、あなたは俺のことどう思ってる?」


『どう思ってるって言われても。』


大「何回も言うけど、俺はあなたのことが大好きなんだ。」


『ありがとう』


大「あなたの為なら命かけられるくらいに、」


『そうなんだ...』


大「ねぇ、あなたが欲しい。」


『...』


大「今夜だけでいい。
あなたが欲しいんだ。」


『でも...』


大「俺、最近、眠れてないんだ。
あなたがこのまま北斗に向かって行ったらどうしよう。
俺のこと見てくれなくなったらどうしようって...」


『...』


大「あの時に戻りたい。
あなたが俺のことを好きになってくれてた時に。
そうすれば、まだ間に合ったのかなって、
何回も自分のこと悔やんだ。
何度も何度も...でも、考えれば考えるほど
苦しくなる。」


『...』


大「でも、大学であなたに会う度に嬉しくなるんだ。
あなたが俺に向けて笑顔を向けてくれてる。
俺の前だけで恥ずかしい顔してくれてる。
どんな顔でもあなたと居れば嬉しいし楽しいんだ。
夜に感じる痛みも一気に飛んでく。
それくらい俺にとってあなたは大切で
大好きで、愛してるんだよ...」


『私も嬉しい。』


大「え、」


『好きだった人がやっと自分のことを好きになってくれたって。』


大「じゃあ...」


『でも、今の私には北斗が居るの。
昔のあなたじゃないんだ。』


大「...」


『大我。私ね?大我のこと本当に好きだったよ。
高校生時代、愛と笑いあっている大我を見て

“なんで私はあの人の隣に居られないんだろう”

“その顔を私にも見せて”

それに、愛のことが好きなはずなのに、
大切なはずなのに、

“愛よりも私の方が大我のこと好きなのに...”

って何回も思った。
それくらい大我のこと好きだった。
でも、今は違うんだよ。
私の中には北斗が居るの。
どんな時もいつもいつも隣には北斗が居た。
辛い時も悲しい時も嬉しい時も上がった時も...』



大「もし、その時、俺が隣に居たら変わってた?」


『分からない。
でも、私が1番そばに居て欲しいって思うのは
“ 北斗 ”なんだ。』


大「...」


『大我の気持ちは嬉しい。
だけど、ごめんなさい。
応えられない。』


大「そっか...」
その瞬間

大我の目から涙が溢れ出した。







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