大学の講義が終わり家に帰る。
今日はバイトがないからゆっくりできる…と思う反面、寂しいなとも思ったり。
“ピンポーン”
『はーい、』
高橋「やっほ」
『は…?だから、なんで来るの?』
高橋「暇やから?」
『なら彼女さんのとこ行きなよ』
高橋「あなたの方が気楽やもん」
またそうやって私だけ心動かされる。
好きなんだよこっちは
高橋「お邪魔しまーす」
『あ、ちょっと!』
高橋「綺麗にしとるやん。あ、見てこれ持ってきたから一緒に見よう」
『これ…』
高橋「あれ、あなた見たいって言ってなかったっけ?」
恭平がカバンから取り出したのは私が見たがってた映画
覚えてたんだ…
高橋「ごめん違った?」
『ううん、合ってる。借りてきてくれたの?』
高橋「うん。あとこれケーキ、食べながら見よや」
『ありがとう…うわ、美味しそう…!』
高橋「……」
『恭平?』
返事が帰ってこないから不思議に思って顔を上げると優しい目で私を見つめていた。
高橋「あ、ごめん」
『…なに、なんかついてる?』
高橋「いや、あなたが楽しそうで良かったなって。なんか最近元気なかったから」
『…っ、』
元気なかったのは全部恭平のせいじゃん
なのにそんな優しい顔しないでよ…
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!