何事もなく日は過ぎて、バイトを始めてからもう1ヶ月
最後だと思うと寂しくて…
いや、バイトが終わることじゃなくて大橋くんと大吾くんに会えなくなることが寂しい。
“〜♪”
『もしもし』
高橋「あ、出た。今からそっち行っていい?」
『ごめん今日は無理…』
高橋「は?もう来てもうた」
『え?』
慌てて玄関の扉を開け下を見るとアパートの駐車場に恭平が立っていた。
『来てから電話は遅いの!』
高橋「どうせ暇かと思って。なんか予定あるん?」
『うん、バイト』
高橋「バイト?いつからしてた?」
『1ヶ月前?でも1ヶ月限定だからもう終わり』
高橋「ふーん…楽しかった?」
そう聞かれた瞬間頭の中に大橋くんの笑顔が浮かんだ。
『…楽しかった』
高橋「よかったやん。なぁ今から俺もついてっていい?」
『いや絶対だめ!ごめんけど今日は帰って?』
高橋「まあ仕方ないか…また来る」
『…うん』
高橋「気をつけて行けよ」
恭平は私の頭にぽんっと手を置いて髪をわしゃわしゃした。
キュンとしちゃうじゃん…したくないのに
……考えない考えない。バイト行こ。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。