先輩に“そんなの、しらない”といわれて佇んで二分後。
今度は蓮見先輩と会った。
そして、あった瞬間に心をナイフで刺さしたような言葉が投げ掛けられる。
グイッ───
襟首を捕まれ引き寄せられる。
ドンッと俺を突き飛ばし、走ってエレベーターにのって降りていってしまった。
別に、こんなことやりたくてしてる訳じゃない。
先輩にいったのもほんとのことだ。
でも、蓮見先輩が言ってたことを訂正することはできない。
だって、あってるんだから。
ほんとに、あのときに行くべきではなかったと。
預けられる権利なんて俺になかったんだ。
調子にのってバレンタインからつきあって。
色々してきたけど、最後まではシてなかったから。
それが不幸中の幸いって感じだな。
あのこと。。。
そんなの、俺が知るわけないだろ・・・
なにも、結局は自分のことは教えてくれてなかったんだから。
七瀬先輩はさ。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!