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第1話

1.
16
2021/02/26 15:57
私は、輝きたかった。


みんなを照らすような存在になりたかった。


だから私は、今、自分を越える。



高校受験も終わって、とりあえず一段落ついた3月。

一日中退屈で、テレビを見ては寝て、を繰り返していた。
結々ゆゆ。7チャンに変えて。はやてが出てるから。
時雨 結々(シグレ ユユ)
時雨 結々(シグレ ユユ)
はーい。
私は7のボタンを押す。

私の兄、時雨 颯しぐれ はやては、今人気急上昇中の国民的アイドルだ。


友達も少なく、スクールカースト底辺の私とは違い、颯は沢山の人々に愛されて、輝いている。

颯は私の憧れだった。

でも、私が颯のようになれるわけがない。
そうやって自分で勝手に決めつけていた。
アナウンサー
今人気急上昇中のSnow Princeの皆さんです!!
さっそく、リーダーの颯くんにSnow Princeのことを聞いてみたいと思います。
では、颯くん。結成した理由を教えてくれますか?
時雨 颯(シグレ ハヤテ)
時雨 颯(シグレ ハヤテ)
はい。...僕たちは...
颯がハキハキと質問に答えていく。
アナウンサー
...では、最後にファンの皆さんへ一言‼️
時雨 颯(シグレ ハヤテ)
時雨 颯(シグレ ハヤテ)
僕達も、ファンの皆さんを笑顔にできるように頑張りますので、どうか僕達、Snow Princeを支えてください‼️
...笑顔、か。

私も誰かを笑顔にさせてみたいな。
そんなことを思っていると、電話がなった。
時雨 結々(シグレ ユユ)
時雨 結々(シグレ ユユ)
...晴だ。
清瀬 晴きよせ はる。一つ年上の私の幼馴染みで、私の好きな人。
そんな晴が、一体私になんのようだろう。

少し浮かれてる自分に腹が立つ。
清瀬 晴(キヨセ ハル)
清瀬 晴(キヨセ ハル)
結々。お前さ、歌い手にならない?
時雨 結々(シグレ ユユ)
時雨 結々(シグレ ユユ)
...え?急にどうしたの?
清瀬 晴(キヨセ ハル)
清瀬 晴(キヨセ ハル)
なんか、俺の友達が女性の歌い手を探してるみたいでさ。
だから、結々やってみたらどうかと思って。
時雨 結々(シグレ ユユ)
時雨 結々(シグレ ユユ)
なんで私?
清瀬 晴(キヨセ ハル)
清瀬 晴(キヨセ ハル)
だって結々、歌うまいじゃん。俺、結構結々の声好きなんだよね。
心臓がヤバい。

なんでそんな期待させるような言葉を言うの。

晴が好きなのは「声」なのに。勝手に浮かれるな、私。
時雨 結々(シグレ ユユ)
時雨 結々(シグレ ユユ)
...ありがと。
清瀬 晴(キヨセ ハル)
清瀬 晴(キヨセ ハル)
歌い手、ならない?
そんな、晴に言われたらさ、なるって言うしかないじゃん。

...それに、もしかしたら、歌い手になれば私も颯みたいに輝けるかもしれない。
時雨 結々(シグレ ユユ)
時雨 結々(シグレ ユユ)
...なってみたい。
清瀬 晴(キヨセ ハル)
清瀬 晴(キヨセ ハル)
やったーッ!!じゃあ、明日、俺ん家来て。そいつらと会わせたいから。
時雨 結々(シグレ ユユ)
時雨 結々(シグレ ユユ)
うん。わかった。

通話終了ー



本当に晴はずるい。

改めてそう感じた。

翌日ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



ピンポーン
私は晴の家のインターホンを鳴らす。


少しして晴が出てきた。
清瀬 晴(キヨセ ハル)
清瀬 晴(キヨセ ハル)
結々、入って入って。
時雨 結々(シグレ ユユ)
時雨 結々(シグレ ユユ)
お邪魔しまーす...
晴の家に上がったのは一体何年ぶりだろう。
リビングに行くと私より年上と思われる男子二人がいた。
私は軽く会釈する。
清瀬 晴(キヨセ ハル)
清瀬 晴(キヨセ ハル)
二人とも、紹介するね。こちら、幼馴染みの結々。歌めっちゃうまいよ。
俺が保証する。
晴に言われて顔が少し火照るのを感じた。
時雨 結々(シグレ ユユ)
時雨 結々(シグレ ユユ)
え、えと、時雨結々です、よろしくお願いします‼️
私は深くお辞儀する。
椎名 皇紀(シイナ コウキ)
椎名 皇紀(シイナ コウキ)
結々ちゃんって言うんだぁ~✨俺は椎名 皇紀しいな こうき。で、こっちが兄のいつき。よろしくね~
時雨 結々(シグレ ユユ)
時雨 結々(シグレ ユユ)
はいっ‼️
すごい親しみやすい人で良かったぁ~

でも、樹さんはさっきから全然喋らない。


すると、ようやく口を開いた。
椎名 樹(シイナ イツキ)
椎名 樹(シイナ イツキ)
...歌ってみて。
時雨 結々(シグレ ユユ)
時雨 結々(シグレ ユユ)
...え?
椎名 樹(シイナ イツキ)
椎名 樹(シイナ イツキ)
何でもいいから、ほら、早く。
椎名 皇紀(シイナ コウキ)
椎名 皇紀(シイナ コウキ)
樹~急すぎだろ~
時雨 結々(シグレ ユユ)
時雨 結々(シグレ ユユ)
...わかりました。
椎名 皇紀(シイナ コウキ)
椎名 皇紀(シイナ コウキ)
...え!?
時雨 結々(シグレ ユユ)
時雨 結々(シグレ ユユ)
~~♪ー~♪
あ○みょんさんのマリー○ールドのサビを歌う。
時雨 結々(シグレ ユユ)
時雨 結々(シグレ ユユ)
~~~♪......はい。これで良いですか。
樹さんが固まって動かない。
時雨 結々(シグレ ユユ)
時雨 結々(シグレ ユユ)
...あの...?
清瀬 晴(キヨセ ハル)
清瀬 晴(キヨセ ハル)
樹もきっと感動しちゃったんだよ。ねー?だから俺言ったでしょ?
椎名 皇紀(シイナ コウキ)
椎名 皇紀(シイナ コウキ)
確かに、すげー声綺麗だった。
時雨 結々(シグレ ユユ)
時雨 結々(シグレ ユユ)
あ、ありがとうございます。
椎名 樹(シイナ イツキ)
椎名 樹(シイナ イツキ)
...キミ、合格。
時雨 結々(シグレ ユユ)
時雨 結々(シグレ ユユ)
ほ、本当ですか⁉️
樹さんがこくんとうなずく。
時雨 結々(シグレ ユユ)
時雨 結々(シグレ ユユ)
やった...!!
すると晴が私の髪をワシャワシャと撫でた。
清瀬 晴(キヨセ ハル)
清瀬 晴(キヨセ ハル)
さすが結々‼️
晴の笑顔。

ホント好きだ。

晴は昔から私が歌を歌うと、綺麗な笑顔を見せてくれる。

だから私は、歌い続けていた。


もし、私が有名な歌い手になれたら、もっともっと沢山、綺麗な笑顔を見せてくれるだろうか。



ここから、私達の物語が始まるーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

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