第34話

“ 一体何処に行くの?”
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2020/04/05 12:49






友達
はぁっ、はぁっ、はぁっ…
茉白 サツキ
お疲れ様。
友達
はぁっ、はぁっ…な、何回いった??
茉白 サツキ
63。
友達
63かぁ〜!!
年々、体力落ちてるわぁ〜〜〜っ!
流れ出る汗を拭いながら友達は私の隣に腰を下ろした。


スポーツテスト終了まで残り10分。

女子は既に終わったのに対して、網の向こう側で男子は未だ延々と走り続けている。
友達
ホント、体力、化け物かよっ。
茉白 サツキ
ああいうのを見ると、やっぱり男の人とは身体の造りが違うんだな、って思うよね。
暇になってしまった女子側の残り10分は、自然の流れで男子の応援になっていく。
女子
男子ー、頑張ってー!
女子
山口ー、ファイトー!
女子
吉田くーん!!
女子
吉田、頑張れー!!

(流石、ハギ…元野球部だ、って言ってたもんね。)


周りの男子が現役運動部員だけになっている中で、彼は涼しい顔をして走り続ける。


(本当に凄い…何でも出来るじゃん……)


彼の苦しそうな様子を少しでも見逃さまいと、私は体育の先生が話してる間も目を離さないようにしていた。
先生
では、スポーツテストを終わりたいと思います。体育委員!
体育委員
はい!
休め、気をつけ、礼!
生徒
ありがとうございました!!
体育委員の号令に合わせて、礼をした直後に後ろから拍手が聞こえた。
友達
吉田ー!おめでとー!
友達
おつかれー!
吉田 ハギ
おー、ありがとうー!
友達
本気でバスケ部入ってくれよ、良いだろ?!
友達
もうすぐ引退だってのに、誘ってどうすんだよ!
吉田 ハギ
あはははっ!!
部活は無理だけど、試合なら全然やるけど。どう?
友達
吉田ぁぁああっ!!(泣)
友達
いや、泣くことかよ。
彼はシャトルランの範囲内の中心で大の字て寝転がっていた。
茉白 サツキ
友達の会話に返しながら、激しく呼吸をし続ける彼が視界に入る。


胸部を大きく上下させるように息をし、

必死に酸素を取り入れるように見えた。
茉白 サツキ
…ハギ、








友達に次の授業の先生に対する伝言を頼み、女子が教室に戻るより一足先に教室に戻ってきた。

私は窓から男子が既に制服から着替え終えたのを雰囲気から汲み取ると、

思い切ってドアを開けた。


『ガラガラガラッ』
茉白 サツキ
…あ、あの、ハギって教室に居る?
男子
お、茉白さんが名指しで呼び出すなんて珍しいね。
教室のドア近くの席の男子が私にそう言った後、すぐに彼の名を呼んだ。
男子
ハギー、茉白さんが呼んでるよー。
吉田 ハギ
サツキが?
男子の群れからひょっこり顔を覗かせた彼のカッターシャツはまだ乱れている。


大きく開かれた襟元の間から綺麗な鎖骨が見えて、

頭から被ったタオルの下から運動後の色っぽい雰囲気を纏っていた。


彼が近づいて来るにつれ、私は彼の姿を見ていられなくなる。
茉白 サツキ
っ…///
吉田 ハギ
何、急ぎの用事?
茉白 サツキ
そ、その前に先にきっちり着替え終えて下さいっ!
吉田 ハギ
あー、はいはい。
彼はボタンをきっちり留めると、「どうしたの?」と私に聞いてきた。
茉白 サツキ
えっと…20mシャトルラン、お疲れ様。
吉田 ハギ
あー、うん?
ありがとう。それで?
茉白 サツキ
吉田 ハギ
本題は何?
茉白 サツキ
…ハギ、私に少し時間を頂戴。
吉田 ハギ
時間を、って何??
茉白 サツキ
いいから!
彼の手首を掴むと、私は彼を引いて歩き始める。
吉田 ハギ
ね、サツキ、一体何処に行くの?
茉白 サツキ
良いから、ついてきて。
吉田 ハギ

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