これは私が高校に入学してすぐの事でした
"今日の都内の感染者は1000人を超え……"
新型ウイルスの影響でなかなか思うような生活が送れず
初めての高校生活に不安を抱いたまま
気がつけばなんの色味もない高校生活が始まっていました
そのような状況の中
私は前から興味があったバスケ部に
マネージャーとして入部し
選手たちが気持ちよくプレーできるように
こまめなアルコール消毒を行ったり換気をしたりなど
感心対策を徹底していました
そのバスケ部でも人気があるのは……
ピピ-ッ
彼 西畑大吾
関西出身なのか関西弁で話す彼
今は時期が時期なので体育館も静かだけど
いつもだと体育館の周りには
彼目当てでやってくる女子でいっぱいになるという噂でした
そんな彼に私も思いを寄せているなんて
私の性格と立場上
口が裂けても言えませんでした
先輩なはずなのにどこか先輩っぽく感じられず
彼と一緒にいる時間が この寂しい生活だった中で
1番幸せでした
それと同時に
そんな人気者が私なんかと関わっていいのか
そんな不安も一緒に抱いてしまい
彼と話す時は嬉しいはずなのに
どこか複雑な気持ちが芽生えていました
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!