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第15話

幸あれ。
138
2019/02/12 12:22
吉田 ちこ
……。
…勇気出してドアを開けようと思っても…手が動かない。


…トントン。
誰かに肩を叩かれ…振り返ると、翔が立っていた。
おはよ!
笑顔で挨拶してくれた。
吉田 ちこ
お、おはよう…?
なんでそんな所に立ってるんだよ?入れよ〜!
翔に背中を押されて…ドアを開き…教室に1歩踏み出す。


葵と、八神は、もう先に来ていた。
吉田 ちこ
あっ………
顔をあげられないー。

どこかで…向こうから手離すんじゃないか?って恐れている私がまだ居た。



1歩…1歩…前へ進んで私の席についた。

隣に八神がいたので…挨拶してみることにした。
吉田 ちこ
お、おはよう…
罪の告白をして…八神は、全てを知っている状態…。

復讐したかった相手が私だって言うことも分かっていても…



私に挨拶してくれますかー?
八神 煌
おっ!おはよう。
という声が飛んで来て、正直驚いた。
葵ちゃん
ちこ!おはよう!
と、葵も私の机にやって来た。

でも、まだ私は下を向いていた。まだ顔が見れない。
葵ちゃん
なんで下を向いてるの…?
吉田 ちこ
…こんな私に話しかけてくれるの?
そう不安そうな声で言うと…
葵ちゃん
当たり前じゃん!
と、答えてきた。普通…《人殺し》の私に話しかけてこないでしょ?
葵ちゃん
友達じゃん!
友達…?

顔を上げると…そこは微笑んでいる葵が立っていた。
葵ちゃん
この前は、全てを告白してくれてありがとう
葵ちゃん
嬉しかったよ。
嬉しかった……??
俺も!
翔も、八神の前の席に座り…そう言った。

でも、八神にとっては……違うんだろう。
八神 煌
うん、僕も。
吉田 ちこ
…えっ?
意外な言葉が聞こえたので、八神の方を見ると…八神は、スマホしながら口を開いた。
八神 煌
話してくれなかった方が悲しいね。
吉田 ちこ
……。
……本当にしなくてもいいの?
八神 煌
何を?
吉田 ちこ
復讐を。
そう言うと、八神を目を開いてこっちを見た。
吉田 ちこ
だってこの前…復讐しないと、俺が生きていけない。って言っていたじゃん…
八神 煌
あーぁ、あれか。
八神 煌
別に、復讐しなくても生きていけるよ
八神 煌
それに…復讐しても…
微笑みながら…
八神 煌
意味ねえだろ?
…あぁ、また目が熱くなる。

今度こそ…本当にホッとした。


八神達は、私をちゃんと受け入れてくれる。
ちゃんと向かい合ってくれている…。
八神 煌
後さ、自分のことを《人殺し》っていうの禁止。この言葉なんか嫌だ。
《人殺し》の言葉…私も嫌いだけど…

いつの間にか自分で言うようになっていたんだなぁ…。
八神 煌
過去について謝るのも禁止。まぁ許さねえけどな。
八神 煌
後……死のうとするのも禁止な。
吉田 ちこ
…!?
八神は、スマホを机に置いて私を睨んだ。
八神 煌
本当は…告白した後、死のうとしてたんだろ?
葵ちゃん
え?
はっ!?
吉田 ちこ
………正解です。
八神には気づいていたのか…。

本当は、告白した後…死のうとした。

過去から逃げたくて…目の前にあることから逃げたくて…。

思えば…私って逃げてばっかりだね。
八神 煌
逃げないで…生きろよ。
八神って…なんでも分かっちゃうだね。

人間観察して来たからなのかなぁ?
八神 煌
…それが、
八神 煌
復讐の変わりの…僕からの命令…!
ふんっ!と、最後はドヤ顔をしながら言うものだから…私は、笑い出した。
吉田 ちこ
あははっ!八神は凄いね。なんでも分かっちゃう…。
吉田 ちこ
うん、分かった。もう逃げないよ。
吉田 ちこ
ちゃんと前を向いて生きるね。
あーあ、また涙が出てくる…。

うん、泣くのも今日で《終わり》にしよう。

これからも、また過去のことなどで辛いことがあるかもしれないけど…頑張って踏ん張ろう。
八神 煌
また泣いてねぇか、お前‪…(笑)
葵ちゃん
ほら、ハンカチ使いなさい!
泣くなぁ〜!!俺までもらい泣きしてしまうぞ!
やっぱり…この3人が大好きだ。

私を救ってくれて…受け入れてくれた大切な人達だ。
吉田 ちこ
泣いてないよ!笑い泣きだから!
じゃあ、私もそろそろ勇気を出して…ちゃんと言ってみようか。
吉田 ちこ
ねぇ…みんな、
吉田 ちこ
ありがとう。
そう言うと…3人は照れながら微笑んだ。
吉田 ちこ
あともう1つ…。
私は、涙を拭って…ちゃんと顔を上げて…

笑顔でずっと言いたかったことを口にする。

吉田 ちこ
私と…友達になってください…!
今度こそ…ちゃんとした本当の友達に…。

過去と関わって結びあった…ドロドロした友達じゃなくて…。
葵ちゃん
友達ってもうなっているんじゃ…
吉田 ちこ
ううん…改めて…
吉田 ちこ
ちゃんとした本当の友達になって欲しいです…!
3人は、目を合わせて…微笑みながら私に言った。






















『 喜んで!! 』












お わ り 。







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