第39話

拒否権はない
190
2021/06/18 10:31

愛衣「梅雨だね〜」


隣で愛衣がぐでーっとした。


優「雨だ〜」


私もぐでーっとする。


今日は佳奈が学校を休んだ。


愛衣と二人でベランダでグダグダしていると、教室から声がした。


奈生「愛衣ちゃん、優」


奈生が笑ってお菓子の箱を見せた。


奈生「いる?」


愛衣は一気にテンションが上がったみたい。


満面の笑みになって教室に入っていった。


愛衣「もお!奈生ちゃん大好き!」


愛衣は嬉しそうに奈生からお菓子をもらった。


優「私もちょーだい」


奈生「はい」


奈生からチョコをもらって食べていると周が私の頭に手を乗せた。


周「何食べてんの!」


周は私の頭に手を乗せたまま奈生からチョコをもらった。


優「うおお、くるしい、」


やばい、ドキドキしてる。


赤くなってるかな。


なんで手乗せんのよ!意識してないのは知ってるけどさあ!!


周「え!?くるしいの?大丈夫?」


周は鈍感だ。


頭から手を離して私の前に来て心配そうに見つめた。


優「周はバカだね」


私がいたずらっ子みたいに笑って言うと周はムッとした。


周「心配してんのに!」


愛衣「あははは!周くんはバカだー」


奈生「素直すぎww」


みんなでワイワイしていると、亮からLINEが来た。


ピコン


優「なんだろ」


_LINE_


亮(周が今日家来るんだけどいい?)


優「あんた今日家くんの?」


私は周を見て聞く。


周「うん、あ、ダメだった?」


しょんぼりして聞いてくるから私は面白くて笑った。


優「いいよ」


_LINE_


優(いいよ)


亮(ありがと、でもさ俺放課後用事できたんだよ)


優(おう)


亮(すぐ終わるから、周と一緒に帰っててくんない?)


優(可愛い弟の頼みだ、帰ってやろう)


亮(よろしく)


送り終えてから周に会話の内容を見せた。


周「優と帰るか〜」


周は楽しそうに笑って言った。


愛衣「今日は2人で帰る?」


優「うん、周をよろしくって」


愛衣「そっかそっか!楽しんでね!」


愛衣は嬉しそうに笑って言った。




__放課後__




周「行こーぜ!」


優「おう」


2人で話しながら廊下を歩く。


昇降口につき、靴を履いていると一足先に外に出た周が私を呼んだ。


周「優見てよ」


周が嫌な顔をしている。


優「なによ」


私も外に出てみると、雨がザーザー降っていた。


周「雨じゃん、最悪」


優「梅雨だしそりゃ降るでしょ」


私が笑って傘をひらくと、周は立ったままこっちを見ていた。


優「早く帰ろーよ」


周「ごめん、俺傘ない」


周はてへっと笑った。


優「嘘でしょ、予報雨だったじゃん!!」


周「だって、登下校の時間帯の予報は雨じゃなかったからー!」


優「だいたいの人は持ってきますー!」


周「俺はだいたいの人じゃなかったんですー!」


私達はしばらく言い合って、周が傘もささずに外に出た。


優「ちょ、濡れるよ」


私が急いで外に出て周を傘に入れた。


周「俺濡れてくし、いいよ?」


優「だめ、一緒に入ってけ」


私はそう言って周の隣に立って歩いた。


周「拒否権はー、」


優「なし」


周は嬉しそうに笑って私から傘を取った。


周「俺がさすよ、優濡れちゃう」


そう言って私の肩をぐいっと引き寄せた。


周にトンと当たってドキッとした。


優「ありがとう」


顔が赤くなる。


触れられているところが熱い。

プリ小説オーディオドラマ