第3話

大嫌いな転校生
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2021/03/16 21:38

担任「はーい、座ってー」


可愛い担任の先生が教室に入ってくる。


みんなザワザワ席に戻る。


優「んじゃあー」


愛衣「じゃあねー!」


佳奈「じゃ」


2人のそばを離れて、自分の席に戻る。


奈生「ねね、今日転校生来るってほんと?」


隣の席の男子が肩をちょんちょん突っついてきた。


この大人しめで可愛い顔の男子、吉田奈生(よしだ なお)は私達3人と仲がいい。


光平「転校生くんの?」


前の席の男子がくるっと振り返った。


このお兄ちゃんみたいな雰囲気の男子、野村光平(のむら こうへい)も私達3人と仲がいい。


光平と奈生と愛衣と佳奈、そして私の5人はグループみたいな感じでよく一緒にいる。


優「んー、来るって話だよ?」


私が首を傾げると、担任がパンッと手を叩いた。


担任「ここで!転校生を紹介します!」


クラスメイト「おおー!」


クラスメイト「楽しみー!」




クラスがザワつく中、担任が廊下を覗いて声をかけた。


クラスに入ってきた転校生は、背が高めで短髪の結構なイケメン。


クラスメイト「やば、イケメン」


クラスメイト「やばああ」


クラスの女子達がコソコソ話している。


奈生「わあ、かっこいいね」


光平「おう」


優「うんー、」


転校生が黒板に名前を書く。



緒方周(おがた しゅう)



優「おがた、しゅう、」


私は身体が震えているのがわかった。


怖い。


中学生のときの記憶がよみがえる。


優「いじめてた、人」


奈生「ゆう?どうかしたの?」


私が黒板を見たまま固まっているのに気づいた奈生は私の目の前で手を振った。


優「あ、ごめん、ぼーっとしてた」


私が苦笑いをして奈生を見ると、心配そうな顔をした奈生が微笑んだ。


奈生「そう」


周「初めまして、緒方周っていいます!
皆と沢山話して仲良くなりたいです。
よろしくお願いします!!」


転校生の緒方周が笑顔で話す。


クラスの皆は拍手をしたり、声を上げたりして周を歓迎する。


光平「良い奴そうだな」


光平が笑って後ろを振り返る。


優「んね」


光平「なんだその顔w」


奈生「すごいよ、この世の終わりみたいな顔」


優「う、うるせー!」


私は無理やり笑って2人を見た。


2人とも笑って私を見ている。



2人に誤魔化しながら、外を見た。


まだ震えてる。


これからやってけるかな。


大っ嫌いな転校生がやってきた日は、雨が降っていた。

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