第7話

そーゆーとこ、素敵だなって思う
346
2021/03/24 12:10

__放課後__


周「よーこーだーさーん」


優「うるせ」


周は私によく絡んでくる。


こんなに嫌いオーラ出してんのに、めげないな、


私は先生に呼ばれて職員室に行っていた。


愛衣達には先に帰っていいと伝えてある。


教室には私と周、5人くらいの女子達が残っていた。


周「やべ、今日迎え俺だ」


周は1人でボソボソ言いながらリュックに荷物を詰め始めた。


周「じゃあね、横田さん!」


優「んー」


周はいつもみたいに明るい声だ。


私なんて目も見ないで冷たくしてるのに。


優「変なやつ」


クラスメイト「ゆー!ちょっと来て来て」


クラスの女子に呼ばれて近づく。


クラスメイト「ねね、今さ陰キャグループのこと話してたんだけどね」


クラスの女子は楽しそうに話す。


このクラスにはあんまり目立たない人達がいる。


オタクっぽい感じでクラスでも若干浮いてる。


優「へー」


クラスメイト「あいつら今日の授業でさー!」


みんな楽しそう。


私は人の陰口が嫌いだ。


正直この話は好きじゃない。


クラスメイト「ねえ!古川も嫌いでしょ?あんな陰キャ!」


クラスメイト「恋愛アニメ好きな男子とかキモすぎww」


古川「う、うん」


古川無理してる。


この子もクラスでは目立たない。古川、古川未紀(ふるかわ みき)は強い女子達にパシリにされているのをたまに見ることがある。


クラスメイト「ゆーも嫌いでしょー?」


5人の視線が私に集まる。


優「んー、別に嫌いじゃないな」


クラスメイト「え?」


クラスメイト「どゆこと?w」


優「好きなものがあるっていい事だし、人の趣味あんま馬鹿にしない方がいいと思う」


教室が静かになった。


あー、やっちゃったかな、


クラスメイト「もー!ゆーらしいな!」


クラスメイト「ハッキリ言うとこ好きだぞ!」


クラスメイト「確かに馬鹿にするのは違うよね」


クラスメイト「優は良い奴だな!」


女子達が私らしいと笑顔で話す。


優「私らしいかは知らないけどなw」


私は女子達にニッと笑って、バイバイと軽く挨拶をしてから教室を出た。


古川「横田さん!!」


靴箱を開けようとしたら、古川が息を切らして立っていた。


今、私の名前呼んだよね、


なんだろ、あんま喋ったことないから緊張する。


優「ん?」


古川「あの、話したいことがあって」




__ファミレス__



古川「...」


優「...」


気まず〜


ファミレス誘っちゃったけど良かったかな。


てかいきなりどした。


優「あのー、古川?」


古川「あの!ごめんね、わざわざ」


優「いいよ、謝らないで」


私が笑うと古川は目を細めた。


こんな顔もするんだ。


古川「私、横田さんが羨ましい。」


優「羨ましい?」


古川「私は自分の気持ちをハッキリ言えない。
いつもどっちでもいいって言っちゃう。」


優「うん」


古川「それに、さっきみたいに横田さんがハッキリ否定しても、優らしいねって受け入れてもらえるのに、私が否定すると調子乗ってるって冷たい目で見られる。」


優「...」


古川「自分の意見言えないのが悔しいの。自分が嫌いなの。」


古川は泣いた。


私の前で泣いた。


泣かないでなんて言えないから、私は古川の頭を撫でた。


古川「へ」


優「私は、古川のそーゆーとこ素敵だなって思う」


古川「どうゆう、こと、?」


優「確かに古川ってフラフラしてて自分の気持ちが無いみたいだよね。」


優「でも、どっちでもいいってちゃんと自分の意見じゃん。」


優「どっちでもいいからどっちでもいいって言うんでしょ?」


優「私はハッキリ言っちゃうから知らない間に人を傷つけてる。」


優「でも古川は誰も傷つけない言い方ができる。」


優「古川はすっごく優しい子だよ、自分のこと嫌いにならないで?」


私が思ってることを正直に話すと古川はもっと泣きだした。


古川「裏表ない横田さんだから、嬉しい、ありがとう」


古川は今までで1番素敵な笑顔だった。

プリ小説オーディオドラマ