第22話

私の過去
264
2021/04/24 10:34

亮「んじゃね」


私の教室の前で亮が手を上げる。


優「うん!じゃね!」


私が笑って亮の手にタッチすると、亮はフッと笑って歩いて行った。


相変わらずクールなやつ。


ガラガラ


私がドアを開けると教室中が静かになった。


嫌な感じがする。


優「...なに?」


私が近くにいた女子達に声をかけると、気まずい顔をした。


クラスメイト「ねえ、あれほんとに優なの?」


女子の1人が黒板を指さして言った。


優「なに、あれ」


黒板には大きく「いじめられっ子」と書かれている。


文字の周りには中学時代の私の写真が沢山貼ってある。


「デブ」「陰キャ」冷たい言葉で黒板がうまっている。


私は黒板の前から動けずにただ見つめる。


また1人になるのかな。


どんなに努力して、可愛くなってもいじめられるんだ。



周side



ガラガラ


クラスメイト「はよー」


周「おう!おはよ!」


教室に入ると、いつもよりも暗い雰囲気だった。


優はどこだろう。


キョロキョロ見回すと、黒板には中学の同級生だった佐々木優の写真が貼ってあった。


俺がいじめてた人だ。


またいつか会って謝りたい人。


黒板の前には優が立っていた。


周「優?」


どうしたんだろ。


体が震えてる。


優「また、いじめられる。」


優はボソッと話した。


また、?


もしかして、俺は優をいじめてた?



優side



怖い。


コソコソ話す声が全部私の悪口に聞こえる。


クラスメイト「優っていじめられてたんだ。」


クラスメイト「あんな地味だったんだね。」


クラスメイト「無理して明るいキャラつくってたのかな?」


ガラガラ


ドアが開いた音がしてちらっと見ると、公平達4人がこっちを見ていた。


クラスメイトが私のことを4人に話している。


もう終わりなのかな。


周「俺がいじめてた」


ザワザワする教室が周の声で一気に静かになった。


クラスメイト「え?」


クラスメイト「いきなりどうした?」


周「ごめん、ずっと謝りたかった」


周が私の前で頭を下げた。


周「俺がいじめてた佐々木さんは優だったんだね」


周「気づかなくて、気安く声かけたりしてごめん」


周はずっと頭を下げている。


優「ううん、顔上げて」


周は悲しい顔のまま私を見つめた。


その後、教室にいるクラスメイト達の方を見る。


周「俺が偉そうなこと言えないけどさ、優は優だろ。」


周「昔と今の見ためが全然違うからって優が変わったわけじゃない。」


周「優が可愛いから仲良くしてんの?優が可愛くなかったら仲良くしないの?」


周「優の過去、馬鹿にすんじゃねえよ。」


周ははじめて怒った。


みんなの前ではじめて怒った。


公平達4人が私と周の近くに歩いてくる。


公平「俺は優の優しいとこ好きだよ」


公平が優しく笑って私の頭を撫でる。


愛衣「私は優の少し口悪くてサバサバしてるとこ大好き!」


愛衣が抱きつく。


佳奈「優はツンデレだけど照れ屋で可愛い」


佳奈が背中を撫でる。


奈生「すっごい友達思いのところ好きだよ」


奈生がニコニコ笑って私を見る。


周「優の全部が好き」


周は真っ直ぐ素直な目で私を見る。


優「...っ」


涙が流れる。


愛衣「ああ!泣かないで、」


公平「大丈夫か?」


5人が泣き止ませようと優しくしてくれるから、もっと涙があふれる。


クラスメイト「優ごめん」


私が泣いていると、クラスメイト達が謝ってくれた。


クラスメイト「優の過去を笑ってごめんね」


クラスメイト「優ごめん」


クラスメイト「優のことデブだった奴とか言ってごめん!」


みんながたくさん謝ってくれるから私は可笑しくなって笑った。

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