第67話

ごめんなさい、
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2021/08/30 07:40

萌花「優ちゃんっ、おはよう!」


熱も下がって、2日ぶりに登校すると、萌花ちゃんは私の顔を見るなり走って抱きついてきた。


優「おはよう!」


私はいつも通りに笑って挨拶をする。


何事も無かったように。


周がそばにいるからか、あの日の萌花ちゃんとはまるで別人のようだ。



__放課後__


周「ゆーー」


優「なんだーー」


周「勉強教えてよー」


優「え、めずらし」


私が驚くと、周は不機嫌な顔になった。


周「いちよう!受験生ですーー!」


優「あはは!」


2人で教室に残って勉強。


周は意外と真剣な顔で勉強をしはじめた。


愛衣達はそれぞれ用事があるらしくて、今日は別々で帰った。


シーンっとした教室に私と周だけがいる。


周に嫌われる。


それしか頭に無かった。


優「周、萌花ちゃんと付き合ったら?」


最近の周と萌花ちゃんの仲の良さに嫉妬しているのかもしれない。


もうどうにでもなれ。


周「は?」


周はシャーペンを握ったまま私をにらむ。



優「だって、最近仲良いし」



周「優に関係なくね?」



周は怒っている。


優「正直萌花ちゃん好きでしょ?」


私は周の目を見て笑う。


周「...」


周は真顔だ。


優「萌花ちゃんって可愛いし、健気だし、優しいし、弱くて女の子らしい、私とは全然違う。」


優「私なんて可愛くないし、口悪いし、弱くなんかない。」


優「それに、萌花ちゃんみたいに素直に泣けない。」


私は萌花ちゃんが羨ましいんだ。


私のことが嫌いな萌花ちゃんだけど、やっぱり可愛くて、私に無いもの沢山持ってて、嫌いになれない。


周「だから白雪と付き合えって?」


優「そのほうが私は楽なの、ほら!周の勉強とかゲームとか付き合ってあげることも無くなるし!」


周、こんなの本心じゃないんだよ。


私は嫌われるんだ。


萌花ちゃんと約束した。


私なんかと付き合うよりも、周はきっと幸せだ。



周「おまえ、そんなやつだっけ」


周の低くて暗い声に驚く。


周は私と目を合わせようともせずに、リュックに荷物をぐちゃぐちゃにつめて教室から出ていった。


優「あーあ、嫌われちゃった、」


涙が流れてまた心が痛くなる。


優「ごめんなさい、」


周には届かない"ごめんなさい"の言葉。


もう友達にも戻れない。


私は周に恋しない。

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