お父さん「お前ら喧嘩でもしたのか?」
休日に家でテレビを見ていたらお父さんが聞いてきた。
ソファーに座る私と離れて床にあぐらをかく亮は目を合わせる。
亮はすぐ逸らしてお父さんの方を見た。
亮「なんで?」
お父さんはクールな顔のまま話し出す。
お父さん「最近2人変だぞ?」
お母さん「あんまり話してないよね、気まずそうにしてる」
お母さんがお父さんに近寄って微笑んで言う。
優「そう、かな」
亮「別に喧嘩してないから」
2人で否定する。
確かに、亮の気持ちを知ってからなんか気まずくて避けてしまう。
もう1週間は経ってるんじゃないかな。
亮も私を避けてる気がする。
お母さん「喧嘩もいいけど、仲直りしてね」
お母さんが笑って言う。
お父さん「優ちゃん亮の事よろしくね」
お父さんは私の頭をくしゃくしゃと撫でて言った。
亮「なんだよ、よろしくって」
亮はちょっと笑った。
お母さん「そうだ!2人でスーパー行ってきてもらいたいな」
優「えー、めんどくさい」
私はソファーにだらーっと寝て言う。
亮「ほら、行くぞ」
亮は立ち上がり私の腕を掴んで立ち上がらせる。
優「んー、」
2人でお母さんとお父さんに手を振っていつもの道を歩く。
亮「...」
優「...」
意識しちゃって話せない。
いつもなら、ずっと笑ってしまうくらい話せてたのにな。
_お父さんとお母さんの会話_
お母さん「やっぱりあの子達何かあったのかな?」
2人が出ていったあと、お父さんとコーヒーを飲みながら話していた。
お父さん「兄弟だし、喧嘩くらいあるだろう」
お母さん「そうだよね、」
お父さん「最初は2人とも話せなくて、気まずそうだったよなあ」
お父さんが微笑んで言った。
お母さん「そうね、今も気まずそうだけど、もっとギクシャクしてた」
お父さん「亮は女子が嫌いだし、再婚の話をした時も嫌そうな顔してた」
お母さん「優は楽しみって喜んでくれてたけど、内心不安だったと思うな」
お父さん「亮があんなに打ち解けたのは優ちゃんのおかげなんだ」
お父さんがお母さんに向かって微笑む。
お母さん「優?」
お父さん「うん、優ちゃん」
お母さん「そっか」
お母さんは嬉しそうに笑った。
お父さん「今度家族旅行行こうか」
お母さん「そうね、4人で行きましょ」
2人で嬉しそうに話した。
_優と亮_
優「お母さん達心配してたね」
一緒にスーパーで買い物袋に買ったものを詰めながら話す。
亮をちらっと見ると頷いてこっちを見た。
亮「気まずいことバレたな」
亮は少し笑った。
優「うん、バレちゃった」
私も笑って言う。
亮「俺は弟」
優「お、おう」
亮「自己暗示しといた」
優「あはは!意味わかんない!」
クールな顔のまま真剣に話す亮が面白くて笑う。
優「私はお姉ちゃん」
亮「ん」
優「自己暗示した!」
亮「ふ」
亮は笑った。
スーパーを出て、エコバッグを2人で持つ。
亮「優と身長差あって斜めるんだけど」
優「うっさいな!あんたがデカすぎるんだ!」
私は亮にくっついて言う。
家までの帰り道はあっという間だった。
また兄弟に戻れたって思えた。
2人で笑って話しながら歩いた。
亮「ただいま」
優「ただいま!」
玄関のドアを開ける。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。