第35話

ただいま
188
2021/06/06 23:27

お父さん「お前ら喧嘩でもしたのか?」


休日に家でテレビを見ていたらお父さんが聞いてきた。


ソファーに座る私と離れて床にあぐらをかく亮は目を合わせる。


亮はすぐ逸らしてお父さんの方を見た。


亮「なんで?」


お父さんはクールな顔のまま話し出す。


お父さん「最近2人変だぞ?」


お母さん「あんまり話してないよね、気まずそうにしてる」


お母さんがお父さんに近寄って微笑んで言う。


優「そう、かな」


亮「別に喧嘩してないから」


2人で否定する。


確かに、亮の気持ちを知ってからなんか気まずくて避けてしまう。


もう1週間は経ってるんじゃないかな。


亮も私を避けてる気がする。


お母さん「喧嘩もいいけど、仲直りしてね」


お母さんが笑って言う。


お父さん「優ちゃん亮の事よろしくね」


お父さんは私の頭をくしゃくしゃと撫でて言った。


亮「なんだよ、よろしくって」


亮はちょっと笑った。


お母さん「そうだ!2人でスーパー行ってきてもらいたいな」


優「えー、めんどくさい」


私はソファーにだらーっと寝て言う。


亮「ほら、行くぞ」


亮は立ち上がり私の腕を掴んで立ち上がらせる。


優「んー、」


2人でお母さんとお父さんに手を振っていつもの道を歩く。


亮「...」


優「...」


意識しちゃって話せない。


いつもなら、ずっと笑ってしまうくらい話せてたのにな。



_お父さんとお母さんの会話_


お母さん「やっぱりあの子達何かあったのかな?」


2人が出ていったあと、お父さんとコーヒーを飲みながら話していた。


お父さん「兄弟だし、喧嘩くらいあるだろう」


お母さん「そうだよね、」


お父さん「最初は2人とも話せなくて、気まずそうだったよなあ」


お父さんが微笑んで言った。


お母さん「そうね、今も気まずそうだけど、もっとギクシャクしてた」


お父さん「亮は女子が嫌いだし、再婚の話をした時も嫌そうな顔してた」


お母さん「優は楽しみって喜んでくれてたけど、内心不安だったと思うな」


お父さん「亮があんなに打ち解けたのは優ちゃんのおかげなんだ」


お父さんがお母さんに向かって微笑む。


お母さん「優?」


お父さん「うん、優ちゃん」


お母さん「そっか」


お母さんは嬉しそうに笑った。


お父さん「今度家族旅行行こうか」


お母さん「そうね、4人で行きましょ」


2人で嬉しそうに話した。



_優と亮_


優「お母さん達心配してたね」


一緒にスーパーで買い物袋に買ったものを詰めながら話す。


亮をちらっと見ると頷いてこっちを見た。


亮「気まずいことバレたな」


亮は少し笑った。


優「うん、バレちゃった」


私も笑って言う。


亮「俺は弟」


優「お、おう」


亮「自己暗示しといた」


優「あはは!意味わかんない!」


クールな顔のまま真剣に話す亮が面白くて笑う。


優「私はお姉ちゃん」


亮「ん」


優「自己暗示した!」


亮「ふ」


亮は笑った。



スーパーを出て、エコバッグを2人で持つ。


亮「優と身長差あって斜めるんだけど」


優「うっさいな!あんたがデカすぎるんだ!」


私は亮にくっついて言う。


家までの帰り道はあっという間だった。


また兄弟に戻れたって思えた。


2人で笑って話しながら歩いた。




亮「ただいま」


優「ただいま!」


玄関のドアを開ける。

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