第9話

好きになってもいい?
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2021/03/28 10:27

??「大丈夫?」


背たっかあ、


驚いた顔をした男子生徒がこっちを見ている。


足長いし、顔も小さくてモデルさんみたいだ。


長めの髪の毛は1つにちょこんと結んである。


優「あ、ご、めんなさい、」


私は涙を拭って顔を隠した。


グイ


優「ふえ」


手首を握られて男子生徒に引っ張られる。


??「なんで泣いてたの?俺で良かったら聞くよ」


優しく微笑んで私を見つめる。


優「あ、の」


??「ん?」


優「距離が、近いっす」


??「あ!ごめん!癖で、」


男子生徒はパッと手を離した。


優しい人だな。


優「大丈夫です。名前なんていうんですか?」


多分先輩だよなあ。


めっちゃデカいし。


春樹「1年の神崎春樹(かんざき はるき)!」


優「1年!?」


この大きくて、顔も小さくて、モデルさんみたいな男子生徒は私の隣のクラスだった。


春樹「ん!1年!優ちゃんも1年でしょー?」


春樹はにこにこしている。


優「う、うん、何で知って」


私は春樹くんに名前を知られていた事に驚いた。


春樹「知ってるよー!隣のクラスの美人さんってよく名前聞くもん」


優「美人、私が?」


私が嫌な顔をすると春樹くんは面白そうに笑いだした。


春樹「なんで美人って言われて嫌な顔してるのww」


優「なんか嫌、です」


春樹「あはは!」


春樹くんはずっと笑ってる。


私もつられて笑った。


優「ふは、笑いすぎ」



ギュ



優「な、に」


春樹くんは私の事を抱きしめた。


私は混乱する。


春樹「やっと笑ってくれた!」


優「え」


春樹「やっぱり、」


春樹くんは私を優しく離して、笑った。


春樹「笑顔が可愛い」


優「そんなこと、」


私は恥ずかしくなって目を逸らすと、春樹くんのスマホがなった。





春樹「ごめん優ちゃん!友達に呼ばれた!」


春樹くんは申し訳なさそうに手を合わせた。


優「いや、だ、大丈夫!」


春樹「俺さ、優ちゃんのこと好きになってもいい?」


春樹くんは笑っている。


春樹「そんじゃあ!」


春樹くんは走って屋上から出ていってしまった。


優「好きに、なってもいい、」


私の顔が赤くなるのがわかった。


心臓の音がうるさい。


恋がはじまる気がした。

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