第50話

ただの友達
160
2021/07/24 07:08

亮「優聞いてる?」


優「ごめ、聞いてなかった」


亮「だからー」


私は今日何故か緊張している。


周と会うのが少し憂鬱。


亮と私は並んで昇降口に行く。


周「亮ー!優ー!」


亮「おー、周」


周はいつも通りに笑って手を振っている。


周の素直に笑う顔にきゅんとした。


きゅんってなんだ、私と周は友達だ。


周「優?」


私が下駄箱を開けたまま考えていたら周が私の肩をちょんちょん叩いた。


優「わ、触んな」


とっさに出た言葉が触んなって、、


周は少し不機嫌な顔で私を見た。


周「触んなってなんだよ!!」


優「だから、言葉通りだよ!!」


周「肩ちょんってしただけじゃん!!」


優「こっちがどんだけ、」


やばい、本音が出るとこだった。


こっちがどんだけ意識しないようにしてると思ってんだよ!!


って言うとこだった。


周「どんだけ、なんだよ」


周は可笑しそうに笑って言った。


優「なんでもないですー」


私も笑って周に言う。


亮「おーい2人とも行こうぜ」


クラスが違う亮が上履きを履き終わって、私達のクラスの下駄箱の前に来た。


周「ごめごめ!」


優「おまたせ」


亮はふっと笑って私の隣に並ぶ。


3人で廊下を歩く。


1年生「ねえねえ、あれ横田姉弟?」


1年生「あー!双子の!!」


1年生「ゆう先輩めっちゃ可愛い、綺麗」


1年生「亮先輩もイケメンすぎない?」


1年生「周先輩もレベチ」


1年生「亮先輩と周先輩に挟まれて歩けるの優先輩くらい」


1年生の話し声が聞こえてくる。


私はそんなに可愛くないよって言いたい。




亮と別れて、周と2人で教室に入る。


まだ時間が早いから、教室には5人しかいない。


クラスの女子「優おはよ!」


クラスの女子「周!優!おはよー!」


クラスの男子「はよ」


優「おはよ!」


周「はよー!」


周がクラスの男子のところに行って、私は1人で席に座る。


クラスの女子「ねえ、優と周くんって付き合ってるの?」


クラスの女子がいきなり聞いてくる。


びっくりして固まる。


クラスの女子「私も思ってた!仲良いよねー!」


クラスの女子「よく一緒にいるし!」


クラスの男子「俺も思ってた」


周「俺と優はー、」


優「友達!!周とはずっと、友達」


私は自分に言い聞かせるように叫ぶ。


クラスの女子「なんだー!ただ仲良い友達か」


クラスの女子「なるほどねー!」


クラスの男子「友達か」


クラスメイト達が納得したように笑って言った。


周「うん、友達」


周は少し悲しそうに笑っている。


私と周は付き合わない。



ただの友達。

プリ小説オーディオドラマ