side 岩本
『…』
ここしばらく携帯も、
インターネットに関するものは
なにも見れていなかった。
『あ、』
“ 着信 あなた”
『…もし、もし。』
あなた「ばかひかる!!!」
『あなた、』
あなた「ばっかじゃないの…返信くらいしなさいよ!」
『…ご、めん。』
あなた「…元気?」
『う、ん。』
あなた「良かった…良かった…」
あなたは泣いていた。
俺は本当に馬鹿だった。
大切な姉1人、笑顔にさせられないなんて。
あなた「ばかひかる!」
『!』
あなた「毎日電話しよ、お話ししよ。」
『お、れ…そんな権利あんのかな。』
あなた「ねぇ、照。…大好きだよ。」
『!?』
あなた「私の大好きな弟だから、よくしたい。
それと同じくらい、大切だから怒る。」
『…』
あなた「ばーか。…うふふ、じゃあね。笑」
俺はやっぱり馬鹿だったらしい。
溜まりに溜まった、
メンバーからのLINEを
一つずつ、返信した。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!