第3話

雨の日のときめき_となりの坂田。
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2021/02/26 14:48
『うわぁ…むっちゃびちょびちょやん…』
リュックを肩から下ろすと、リュックからは水が滴っていた。
私はそれをタオルで優しく拭き取った。
本当に雨の日は、気分が憂鬱になる。
雨があまり好きではない私は、学校がある日に雨が降られたら気分が落ちる。

それに、私は普段は自転車通学だが、雨の日は濡れてしまうため、電車通学。
人混みが苦手な私は、朝の通学だけで疲労がたまる。
『はあぁぁぁぁぁ…だっるい…』
リュックを机の横に掛け、自分の席に座る。
机はリュックをさっきまで置いてたため、所々濡れてしまっている。
それを制服の袖で拭ってから、だらんと身体を預ける。

雨の日は、いつも以上に早く登校するから当たり前に誰も居ない。
だいたい8:15に早くても1人目がくる。
しかし私が来たのは8:00。
だから、誰も居ないという貸切状態で少し楽しくもある。
ガラガラ
そう思った瞬間に誰かが、教室に入ってきた。
我ながらタイミングが悪いな、と心の中でツッコんでおいた。
『あっ、あなたやん!』

『あぁ、坂田くんか、おはよう』

『んふふ、おはよっ!!』
声の音源を辿ると、そこには坂田くんが居た。
坂田くんはとても明るくて優しくて、私とも仲良くしてくれている。
しかし、勉強は苦手なようで、度々私が教えることも。

そんな彼に挨拶をすると、ふにゃりと口元を緩めて挨拶を返してくれた。
『ってか、!めっちゃ服びちょびちょやん!』

『よく見たら髪の毛もすごい水滴ってるし…!?』
あまり見てなかったから今気づいたが、坂田くんの制服はびちょびちょに濡れていた。
それに服も濡れているのだから、当然髪も濡れていた。
まるで、お風呂上がりのようだ。

私の声に驚いたのか、少し肩を震わせたあと、力なく笑ってこう言った。
『あはは…あの、置き傘しちゃって家に無かったからしかたなく…‪w』

『え、つまり傘ささずに学校きたん…?』
私が恐る恐る問いかけると、控えめにこくりと頷いた。
何となく答えは分かっていたが、本当にそうだと言われると驚いてしまう。

呆れた私は自分のリュックから、タオルを取り出しながら坂田くんを手招く。
『もう…まだ小雨やからマシやったけど…風邪ひくよ…』

『ほら、タオル私持ってるからこっちおいで』
坂田くんの方をちらりと見ると、申し訳なさそうにこちらに来た。

私はまず、坂田くんの綺麗な赤髪を丁寧に拭いた。
もともと髪がさらさらな彼は、雨に濡れて余計にさらさらになっていた。
私は羨ましいな…とか思いながら着々と拭いてゆく。

そして次に制服。
雨に打たれて濡れた制服は、少し透けてしまっていた。
その所為でインナーが若干見えている。
男の子だからまだマシだ…と思いながらも、目のやり場に若干困っている私。
こんなので緊張してどうするんだ、と考えるのを止める。

少し坂田くんが気になって視線を移すと、丁度彼もこちらを見ていたようで、バチッと視線が重なった。
『えっあ、…』

『あっ、そう言えばなんか強引に拭いちゃってるけど…大丈夫…?』

『あっ全然、!逆になんかありがと…//』
遠慮がちにお礼を言う彼の頬は、心做しか少し紅潮して見えた。
雨に濡れたせいで、風邪をひいたのだろうか。
私は気になってつい、彼の額と私の額に同時に手を当てた。
『うあっ、!?』

『あぁごめん、顔赤いから熱あるのかなって…』

『息も荒いし、風邪引いちゃった…?』

『いやいやいやいや、!全然俺元気だから!?大丈夫だよ!!』

『あぁ、そう…?』
額に手を当てたところ、特に熱くはなかったから熱ではないと思う。
しかし、息遣いも少し荒いから本当のところどうなのだろうか。
少し気になったが、本人が大丈夫だと言っているから、追求しないようにした。

『よし、だいたい拭けたかな?』

『あなた、わざわざありがと…』

『俺、あなたのそういうとこすき』
どういたしまして、と言おうとした時、坂田くんが言葉を放った。

"俺、あなたのそういうとこすき"

鈍感だと友達に言われる私でもわかる。
だんだんと紅潮していく頬。
顔だけじゃなく、耳まで自分でもわかるくらいには熱い。

驚いて坂田くんを見ると、彼はさりげなく視線を逸らしていた。
これは…どっちの"すき"?

坂田くんの熱でも伝染ったのかな________












『雨の日のときめき_となりの坂田。』

Fin________

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