目が覚め、私の視界に入ったのは真っ白な天井。
寝ているベットが家のベットと感触が違う。
ここはどこなのか…?
考えていると周りには皆がいた。
私は大丈夫な姿を見せようと無理矢理身体を起こした。
そんな話をしている間もずっと喋らず、私の服の裾を握ってる人が…。
私は一言も喋らない玲於にどうしたらわからなくて、皆に目で訴えた。
大きく息を吐きながら私の太腿に顔を埋めて来た玲於。
この時、玲於が仔犬のように見えて、素直になるのも必要かなと思い、思ったことを玲於に言ってみた。
私は玲於の頭を撫でた。
そんな他愛もない話をしている時、玲於はまだ顔を埋めていたけれど、耳が赤くなっていて、顔を見なくても玲於の感情が読み取れた気がした。
私は玲於にそう語りかけたと共に、また手を玲於の頭に乗せた。
すると、治まりかけていた玲於の耳の色が、またどんどん赤くなっていった。
玲於は起き上がるとムスッとした表情で私から顔を背けてボソッと言った。
そして皆は、バイバイ、と手を振りながら病室を出ていった。
さっきまで賑やかだった病室も、皆が帰った瞬間静まり返る。
昔は自分の周りが賑やかなんて、当たり前だったから全然気にしなかったのに、
今では……。
あれから一週間経った日、退院することになった。
早く家に帰りたい、
皆の元へ帰りたい、
そんな気持ちが先走って、病院を出た時から、私は少し駆け足になっていた。
あっという間に着いた家。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。