高橋side
大「欲しいものあれば、あとで全部買ってあげるから!話聞いてもいい?」
恭「いや、全然いいっすけど…。」
なんでこんなことに…?
それにやっぱこの人社長呼ばわりされてた人と違うような…
大「それで?前に見た西畑社長ってどんな感じだった?」
恭「その前にっ!」
大「あ、お腹すいた?何か頼む?」
恭「いや、そうじゃなくてっ!なんでそこまでしてその…前の西畑社長のこと聞きたがるんすか。」
大「…実は君が見たっていう前の社長は兄なんだ。たった1人の兄。」
「でも、僕が社長になってお兄ちゃんにも会えないしどこ行ったかもわかんないから。少しでも兄のことを知りたくて。」
恭「…なるほど?あーでも、俺あんま記憶力ないんで。ほんとにそのお兄さんかわからないんっすけど…」
大「大丈夫!!」
恭「そ…ですか。」
この人の目苦手だ…。
でかいしキラキラしてるし…子犬みたいな。
恭「…子犬?」
大「え?何?」
子犬といえば…。
恭「子犬ですっ!!」
大「え?ん?どういうこと?」
恭「俺が見た前の社長の人、1週間前ぐらいに家の近くのコンビニで慌てた様子で電話かけてましたっ!」
大「う…ん。それのなにが子犬なの?」
恭「その人、子犬のイラストが描かれてたTシャツ着てたんです!」
大「…え。」
良「…いくらなんでも強引すぎ」
大「ごめん。」
良「俺に謝るな…」
大「あーぁ…お兄ちゃんのこと少しはわかると思ったんだけどなぁ。」
良「一応確認するか?コンビニ前の防犯カメラの映像」
大「ん。頼んだぁ〜」
良「…明日お見合いだろ、どうやって断る?」
大「あー……まぁなんとかなるでしょう。」
良「それより明日で2日。誘拐なら生存率は30%まで下がる」
大「手がかりは?」
良「連れ去ったのはあの子の母親の再婚相手で間違いない。」
大「…女性の方は?」
良「それが、手がかりはなし。存在はわかっても関係が出てこない」
大「は?」
良「つまり、連れ去ったのはお前の父親ではない誰かの仕業ってこと。」
大「じゃあやっぱりあの父親が勝手に奪い去って行っただけってこと?」
良「さぁ〜。どうやろうな、面倒ごとが増えないことを願うわ」
大「また何かあれば、よろしく」
良「…はいよ。」
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!