前の話
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仕事が一段落ついて
給湯室のドアをゆっくり開けると
すでに誰かがいるのが見える。
顔も確認しないで会釈をして
通り過ぎようとすると
聞こえたその声に息が止まるかと思った、、、
振り向くと
飲み物を片手に
首を傾けて私の方を見ている。
まさかスングァン先輩がいるとは思わなかったから
一瞬動きが止まったと思う。
いや、絶対止まった。
だから先輩は私の事を見ているんじゃ、、、?
すごい
前の髪色に少しピンクを混ぜた色にしたけど
色味はそこまで変わってないのに、、、
現に仲が良いチュニにさえまだ気づかれてない。
驚いて丸くした目が私と合うと
慌てたように
ストローを咥えた。
その姿も可愛いㅎㅎ
こんな些細な変化に気づいてくれるなんて
よく見てくれてるのかな
なんて思いたくなる。
私の方がスングァン先輩の事を
見ているだろうけど。
その今飲んでいるアイスアメリカーノは無糖
スマホの待ち受けは同じ部署のバーノン先輩
時々使うシャーペンは
私も使っているのと同じゼブラのシャーペンだ。
スングァン先輩の新しい発見をする度に
私の気持ちも高まる。
自分と同じ何かを発見する時は特に
でも残念な事を知ってしまう時がもある。
そう言われて
私の手に持っているミルクとガムシロを入れた
アイスアメリカーノを飲んだ。
先輩は無糖のアイスアメリカーノ、、、
前にバーノン君と話している時に
"アイスアメリカーノに
ガムシロを入れるなんて有り得ない"
なんて言葉を聞いてしまった。
返事をしつつも
口にしていたアイスアメリカーノは
あまり減っていない。
親切に開けてくれたドアを通ると
長く伸びた廊下から
こっちに歩いてくるソクミン先輩が見える。
まだ近くとは言えない距離に
大きく響く声
会社でこんな声を張るのはソクミン先輩ぐらいㅎ
何かいい事があったのか
いつも以上にニコニコの笑顔の気がする。
揶揄うソクミン先輩と目が合うと
ソクミン先輩の口角がどんどん上がって伸びていく。
そう言われたらいつも笑顔だし
その通りと言えばその通りなんだけど、、、、
手に持ってたアイスアメリカーノを
胸のところに押し付けるように渡した。
スングァン先輩
あまり飲んでないのにソクミン先輩にあげるの?
スングァン先輩の
綺麗な細長い人差し指が
ソクミン先輩の唇に当てられた。
また口を開こうとした
ソクミン先輩から逃げるように
咄嗟に私の手を握ったスングァン先輩の手。
いつも綺麗に女の人並に手入れされているなと
見ていたけど
握られると皮膚は少し硬くて
ちゃんと男の人の手してる、、、
ヤバい
見た目とのギャップがある感触と
スングァン先輩に手を握られている
目に映る絵に
すごいドキドキする
大丈夫なはずがない
今も握られる手がある限り
すぐにパッと離された手に
まだ残るスングァン先輩の手の感触
言わなきゃ良かったなんて思うのは
言ってからの後悔
こんな事二度とないのに、、、、
____ 翌日 ____
自然と漏れる溜め息
デスクから立ち上がって
お手洗いに行き、
大きな鏡に写し出される自分を見ると
更に大きな溜め息が出る。
昨日はあれから
スングァン先輩と目が合えばすぐに晒されたり、
話かけられても
要件だけ伝えられると
小走りで逃げるように立ち去られた。
先輩に避けられているとしか思えない。
甘い物でも飲んで気を和ませようと
給湯室へ向かうとちょうどドアが開いた。
もしかして、、、、!
てっきりスングァン先輩だと思った、、、、
スングァン先輩だったとしても、
どう話しかければいいのかわからず
困ってただろうけど
それでもスングァン先輩の姿が現れるのを期待した。
昨日と同じ
何かを言いたくて堪らない顔してる
怖いなー、、、、
やっぱり怖かった、ソクミン先輩
仕事で関わる時はすごく優しいのに
まだニヤニヤしてる、、、、
え?
何、今の?
なんか微妙な間があったし
鉛筆で書いたように目が細くなった
満面の笑みだったし
グッドポーズして立ち去られたし
どうしよう、この飲み物、、、、、
捨てるのもなんか出来ないしとりあえず
これを持ってデスクに戻ろう。
廊下を歩く途中で
ばったりスングァン先輩に出くわした。
やっぱりスングァン先輩と会ったからといって
何か上手い言葉が出るわけではなかった。
スングァン先輩どこか遠くを見てるし
歩き方がなんだかぎこちない
そのぎこちない歩き方につられてなのか
私までぎこちなくなっていく。
口元を隠して喜んでいるように見えるって事は
私、避けられてるわけではないのかな?
でも
これはちょっと違うんですよ、先輩
口を開けたままフリーズした先輩
自分があげた飲み物が戻ってきた事
そんなに驚いた?
こんなに顔を真っ赤にした先輩を見るのは初めてだ。
ほっぺに両手を当てながら
早歩きで先を行く先輩は
もしかして
もしかするのかもしれない
......fin
リクエストいただいたお話でした(´ . .̫ . `)
ぶーちゃんのお話との事でしたが
こんな感じでどうでしょうか?
あなたちゃんとぶーちゃんは果たして
どちらの方が相手の事を
よく見てるんでしょうね( *´꒳`*)ムフフ
この次もリクエストのお話を書こうと思います
が!←
もしかしたら
先に夏のお話を書くかもしれません(´ . .̫ . `)
まだ書き始めてないので
その時の気分でよろしくお願いします((何が
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。