ゆっくり近づいてくるジョンハン君に
思わず緊張のあまり視線を下に向けると
ジョンハン君が口を開いた。
目線だけ上に上げると
キョトンとした顔で私の顔を見ている。
私の言った言葉の意味
きっとわかっているはずなのに。
言うのが恥ずかしくて
体操服の裾を握りしめて
目を瞑って答えたから、
ジョンハン君がどんな反応を
したかわからないけど
握りしめた拳を温かい手で覆われて
目を開けると今まで見たことのない
少し照れ臭そうに口元が緩むジョンハン君の顔。
覆われた手がキュッと握りしめられると
体操服の裾から離れて
私の指と
ジョンハン君の
骨張って少しゴツゴツしている指が絡み合う。
心臓の音が速い
目の下が焼けるように熱くなる
好きな人に触れられると
こんな風になるなんて知らなかった。
もう一つの理由は言わなかった。
お互いが好きとわかってから
言ったら嫌われちゃうかもしれないと思うと
言えなかった。
卑怯で弱虫な私。
眉毛を下げて
悲しげな表情を見せる。
私の初恋
叶わないであろう相手に恋をして
思いもせず実った。
校舎に戻る時は距離を空ける。
学校では私とジョンハン君は必要以上に話さない。
目が合うとお互い微笑み返す。
今までと変わった事は
毎朝早く行ってベンチしかない
小さな公園で座ってお話して、
夜お互いの都合が合えば
ジョンハン君が家の下まで来てくれる。
2人きりの時間は少ないけど
それだけでも幸せ。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。