『 ✉️ 今週の日曜日空いてる? 』
『 ✉️ 俺も誘おうと思ってたㅎㅎ 』
陽が沈んだ仕事帰り
3人のグループラインを覗き込む前に
私もちょうど2人と同じ事を考えていた。
『 ✉️ 10時ぐらいに迎えに行くけど大丈夫? 』
まだ薄暗い道の街灯の灯りが
チカチカと点滅してから点灯した。
この季節になると毎年必ず3人で集まる。
この集まりを毎年楽しみにしている。
集まる事自体特別な訳ではない。
誕生日の時や
1〜2ヶ月に1回は都合が合えば3人で集まるけど
この季節ならではの楽しみ。
家が見えると
向かいの道路の横にある桜の木には
大きく膨らんだ蕾が存在感を放っている。
いつもよりも少しだけ
早く起きて作ったサンドイッチ。
淡いピンクの花柄のナプキンに包みながら、
毎年手の込んだ物なんて作れてないけど
2人の喜んでくれる顔を思い浮かべながら
トートバッグに詰め込んだ。
玄関を開けるとすぐ聞こえた声
声のする方に振り向くと
大きく手を振って白い歯が見える笑顔のジュンと
微笑みながら手を軽く挙げたミンハオ。
2人の元に行くと
突然ぶわっと吹いた冷たい風に
髪が乱れて目を瞑った。
目にかかった髪の毛を目線を下げて整えていると
ふわっとシナモンのような香りが鼻に届いた。
目線を上げると目の前にはミンハオが
自分のかけていたネイビーのストールを
私の首にかけてくれている。
言葉は素直にお礼を言えたけど
正直、
少し戸惑う。
迷惑とかでは決して思ってなくて、
変にドキドキして心臓に悪い。
ミンハオに気を取られていると
肩が軽くなった。
隣りには私のトートバッグを
肩にかけるジュンがいて、
私の意識のし過ぎなのか
年々距離が近くなってきているように感じる2人。
たぶん気のせい、、、、
この2人は中学の部活で
出会った時からすごく優しい。
その優しさに安心しきっていたけど、
いつからかこの2人のふとした時に
ドキドキするようになった。
桜の木の下でレジャーシートを広げると
ジュンが肩にかけてくれていたトートバッグの中を
" 開けてもいい? "
ってウキウキしながら聞いてきた。
そんな喜ばれる程立派なものを作ってないのに
こんなにも喜んでくれるㅎㅎㅎ
きゅうり苦手だったよね?
苦手のはずなのにジュンが食べるなんて、、、
両手に何も持ってないミンハオの前に
トマトレタスサンドを差し出すと、
ミンハオの長い指が私の指先に被さった。
またこうやって鼓動が早くなる
わざと、、、、なのかな?
ジュンの前に出してもニコニコして
受け取ってくれない。
まだ食べるタイミングじゃなかったのかな。
聞いてきたのにそんな事ある?
口を大きく開けたジュン。
何も考えなければ一瞬で終わるのに
意識をしちゃってなかなか進まない手。
この2人はどうして
こんなに私を惑わすんだろうか、、、、
ジュンの顔が突然近づいて
思わず手を引っ込めたら
額がぶつかりそうな距離で目が合うと
心臓が飛び跳ねる。
身体から心臓が飛び出そうになった時
私の手に持ったサンドイッチを齧り付いた。
抜け駆けとか
約束とか、、、、、
突風が吹いて
目を細めると
陽射しのように暖かい表情の2人。
私の心を掻き乱すのは春の嵐
......fin
今回は恒例(?)の
読者様をランダムで選びました(´ . .̫ . `)
れもん様**
いつも読んでくれて♡ありがとうございます🍀
季節物を書いていたのに、
危うくもう少しで
桜が散ってしまうところでした(´▽`)
次回はリクエストメンバーを
書く予定でございます( *´꒳`*)੭
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。